第1部
第1楽章 内乱
第0話 プロローグ
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器をおくり、そして失敗に終わった。だが、成功した物も少数ある。その代表例がハーディマンだ。
宇宙では物資の補給は宇宙船で運ぶ為、運べる量が限られており、僅かな弾薬を迅速かつ的確に使用する必要があった。そこで身体の延長として宇宙空間での建築、発掘作業を行う有人制御ユニットを基に開発されたハーディマンが実戦へと配備された。
また、ハーディマンを試金石として機動兵器の戦術歩行戦闘機(以下戦術機)の開発が推し進められた。この戦術機のコンセプトは、防空システムの進化によって無力化されるであろう、航空戦力と砲兵の代用であり、匍匐飛行、もしくは歩行によって敵のレーダーを掻い潜り、友軍の支援要請にすぐに対応する為であった。現に1980年代にはTactical High-Energy Laserが実用化され、敵地での防空システムの破壊無しで、航空戦力の運用は不可能となった。
なお、中間地帯は両陣営から放たれるジャミングによって、対空システムなどのレーダーが効かない為、制空権を確保できれば、近接航空支援は可能である。もっとも、早期警戒管制機の支援は、先に述べたジャミングによって殆ど効力を発揮せず、ドッグファイトが多発する結果となった。
2008年8月11日に、日本各地でテロ事件―――絢と義父が出会う切っ掛けになった、この世の“地獄”―――が発生した。その後、機構と同盟の関係は悪化し、2010年、三度目の世界大戦が始まった。
それは一月一日の事だった。前日には条約機構と同盟は国交を断絶しており、デフコン2まで上がっていたが、戦争が起きるとは誰も思ってはいなかった。北京が新年を迎えたとき、この星に何発もの“神の杖”が落とされ、巡航ミサイル、弾道ミサイルが雨の様に解き放たれた。最初に放たれた“神の杖”は同盟軍の物だった。
重金属で構成された全長6.1m、直径30cmの金属棒が、ヘリウムと水素しかない高度1,000kmの高さ―――なお、国際航空連盟やアメリカ航空宇宙局 は宇宙空間を高度100qより外側と設定している―――から、音速の9.5倍の速さで放たれたのだ。この運動エネルギー弾が都市を破壊し、壊滅させるのはたやすい事だった。
幾つもの都市が破壊され、機構軍も莫大な損害を負った。だが、その程度で黙っている機構軍ではない。すぐに反撃が開始され、同じように同盟の都市を“神の杖”が襲い、屍を量産する。
しかし、その応酬は瞬く間に途切れることとなった。互いの対衛星ミサイルが攻撃衛星を次々と破壊され、巡航、弾道両ミサイルの発射合戦はミサイル防衛システムの起動によって止まっていた。なお、偵察衛星などは攻撃されることは無かった。あまりにも数が多すぎたのだから。
戦略兵器では決着しなかっ
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