オリジナル/未来パラレル編
第22分節 オーバーロード
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「咲ッ!!」
怒鳴るように呼ばれて全身が跳ねた。
「あっ」
拍子に、ヒマワリのロックシードを落とした。
ロックシードが跳ねて落ちて行ったちょうど先、息を切らした紘汰が、雨に濡れるのも厭わず立っていた。
「コウタ――」
「! さ、き……お前、まさか、記憶が」
紘汰の姿を見たことで連鎖的にキオクが弾ける。紘汰の“恋人”としての咲が、どれだけ紘汰にシアワセにしてもらったかを、思い出してしまった。
「…め…だめ、だよ…」
後ずさる。紘汰から。紘汰が引き留めるように腕を上げるが、もちろん届く距離ではない。
下がり続けて何かが、否、誰かが咲の背中にぶつかった。慌ててふり返る。戒斗が淡々と咲を見下ろしていた。
「――っ戒斗ぉ!!」
咲の目と鼻の先を凄まじいストレートパンチが横切った。
客席を駆け上がった紘汰のものだった。だが紘汰の拳は戒斗には届かなかった。
戒斗はいつのまにか咲たちと入れ替わるように客席の下に立っていた。
紘汰が腕で咲を背後に押しやる。展開に付いて行けない。なぜ紘汰は戒斗にこんなにも怒っているのか。何故9年も消息不明だったトモダチと――戦おうとしているのか。
「咲には指一本触れさせねえ――俺が守る!」
紘汰は敵意を剥き出しにし、ドライバーを出して装着した。コアスロットルを取り付けてから、オレンジとレモンエナジーの錠前を開錠した。
「変身!」
《 オレンジアームズ 花道・オン・ステージ 》
《 レモンエナジーアームズ ジンバー・レモン ハハーッ 》
オレンジの鎧とレモンの陣羽織が紘汰を鎧武へと変える。
鎧武は弓で生身の戒斗に斬りかかった。
「紘汰くん!?」
咲は悲鳴を上げた。だが、戒斗は意にも介さず、何と生身の手で弓を受け止めた。
斬れていない、血が流れない。
それどころか戒斗は、弓ごと鎧武を持ち上げ、枕のように軽々と投げ飛ばしたのだ。
「戒斗、くん……その目」
目の片方が金色に光っている。
戒斗は軽く両手を挙げた。紘汰のようにアーマードライダーに変身するのかと思って見ていると、次の瞬間、確かに戒斗は「変身」した。
アーマードライダーではなく、金色の怪人に。
――それはインベスに似ていて、しかし今まで知ったどのインベスとも異なっていた。怪物でも動物的だったインベスと違い、金色の甲殻はバロンの鎧に似た配置であり、人間的な立ち姿をしている。腰のマントはまるで彼が本当に男爵だと誇示するようにはためいていた。
黒と金色の男爵の名を、咲は
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