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家族
第一章
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まった。
「おらんようになったんかいな・・・・・・」
「悲しいやろな。今は泣くんや」
 修治はそんな甥に対して告げた。彼もまた泣きそうな顔になっていた。
「好きなだけ泣くんや、泣きたいだけ」
「あんたが一番辛いんやから」
 恒子も同じだった。今にも泣きそうだった。
「何でおらんようになったんや・・・・・・」
「あんなに元気やったのに」
「お父さん、お母さん」
 修一はその場で立ったまま泣きだした。ただ涙に滲んだ目に家族の顔が思い浮かぶ。だがそれはもう記憶でしかない。それがわかるから余計に悲しかった。
「照美、実美、良美・・・・・・」
 小さい妹達ももういない。誰もいなくなった。彼はその悲しみの前に泣くだけであった。
 それからすぐに彼は修治と恒子の夫婦の養子となった。正式の富山家の跡継ぎにもなり彼は叔父夫婦の大きな家に住むことになった。田舎だが大きな家であり生活には困らなかった。彼は疎開先の小学校に通い表面上は楽しく過ごしていたのであった。
 だが叔父夫婦にはわかっていた。彼がまだ立ち直っていないことに。
「まだあかんか」
「全然やわ」
 二人は夜遅くに今でそんな話をしていた。当然修一に関してのことである。修治は妻の酌を受けながら話をしていたのだった。
「一人になるといつも泣いてるわ」
「そやろな」
 修治はそれを聞いて俯いた。そうして一旦酒を口に入れた。殺風景な居間であった。殺風景に見えるのは二人の心が寂しいせいなのかはわからない。だが今は殺風景な部屋になっていた。

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