第四十八話 思春期A
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いといけない。多くの魔導師の配備が必要であるため、人材も優秀な人たちもたくさん本局にいってしまうのだ。そりゃ激務だろうが、給料がいい方に行きたがるだろう。航空隊という名前に憧れるやつが多いのも、学校で聞いたことがある。
……結論から言って、これ無理ゲーじゃね? エ○ーマンの曲だって頭の中に流れるよ。地上部隊に同情する余地はあるが、本局の事情に納得できる部分もある。でも、地上部隊の人にとっては格差を感じてしまうのは仕方がないことだろう。副官さんが本局の「海」の方々に、文句を言いたくなる理由もなんとなく理解できた。
「だからこそ俺は考えた。本局にいくら申請しても、この先おそらく現状は変わらんだろう。ならば、持ってこれるところから持ってくるだけだ」
「……副官さん」
ごくり、と俺は唾を飲み込む。今、彼は決断しようとしていた。嘆くだけでは変わらない今を、自らの手で切り開くことを選んだのだ。地上部隊の運命が変わる瞬間が、今だった。
「……そう、我ら地上部隊に必要なこと。それはつまり、新しい副業! 地上部隊の資金獲得のために名物をつくり、それを宣伝し、放映料やらファングッズの売上金で儲ける! 次元世界の者たちも楽しめ、地上部隊も潤う! さらに名物に釣られた人材の確保にも繋がるはずだッ!!」
……でも、どこで間違えてしまったのだろう? サッカーボールを片手に宣言する副官さんを見ながら、俺の目は遠くを見ていたことだろう。この人、趣味で地上部隊にサッカーチームを作っただけじゃ満足できなかったようです。
そして、冒頭に戻る。
「えっと、副官さん。結局どういうことですか? 確かに俺は、管理局や学校のみんなにサッカーを広めたり、魔王少女なのなのちゃんの番組で、サッカーをやらせてみましょうって総司令官に進言して、一応貢献はしましたけど」
副官さんに恩があった俺は、少しでもそれを返すべく布教活動に取り組んだ。サッカーも野球と一緒で、少数ではできないスポーツだから仲間を増やす手伝いをしたのだ。そのおかげもあり、サッカーの認知度はまずまずになり、地上部隊でチームを作るまでに至ったのだ。
「ふん、今年サッカーチームを作ったのは、お前も知っているだろう? だが、このチームを趣味で眠らせておくにはあまりにも惜しい。さらに今の地上部隊の現状を考えてみて、気づいたんだ。そう……サッカーを地上部隊発信のスポーツとして、次元展開するべきだとッ!」
次元まで逝っちゃったー。
「えーと、質問。まず、副業して大丈夫なんですか?」
「総司令官からのOKサイン。さらには、本局の上層部のやつらからのGOサイン」
「よくもらえましたね…」
「脅しっていい言葉だよな」
さらっと怖いこと言ったよ、この人。
「……という
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