第四十八話 思春期A
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る必要があったことを思い出した。報告だけなので、コーラルとブーフに付添いは不要なことを伝え、執務室に向けて俺は転移を発動したのであった。
「……で、なんなんですか。この状況」
「なんだ、その引き攣った顔は。お前も協力者だっただろう」
「いや、そうなんですけど。なんで実現して。……ってあぁー、もう! なんで管理局の人って、ここまで熱心に突き進んじゃうかなァ!」
うがぁー! と頭を抱える俺に、向かい合う副官さんの目は完全な呆れが映る。ちょっと待て、むしろ呆れたいのは俺なんですけど。なんなんだよ、管理局の方々。野球のお兄さんも、おじいちゃんも、副官さんも、なんでここまで突き抜けてしまうんだよ。
「趣味を広めることの何が悪い」
「権力使っていますよね。公私混同ですよね」
「管理局にとって、決して悪くないことだと判断した結果だ」
「……あかん、第2のおじいちゃんの影がうっすら見えた」
頑固で真面目一直線だった青年はどこにいった。この人の根っこの方は変わっていないと思う。だけど、たぶん考え方が彼の中で少し変わったのだろう。良い言い方をすれば、丸くなった。悪い言い方をすれば、大事なネジが1本抜けた。そんな状態に。
とりあえず、これまでの経緯を振り返ってみよう。まず副官さんの趣味が爆発した理由は、管理局の地上部隊のあり方に関わってくる。
『地上部隊』
ミッドの平和を護る部隊であり、犯罪者の確保や犯罪の増加を抑え込む役目を負っている。さらに管理局を含め、ミッドの最重要区域の警備も行っている人たちだ。俺たち市民にとって、最も身近なお巡りさんだろう。管理局の地上部隊が、かなり重要な役職であることは理解できる。
だが、地上部隊の現状は決して満足できるものではなかった。それは彼らの力不足が原因、と言うには可哀想だろう。というのも、地上部隊はぶっちゃけ人材も武装もお金も雀の涙だったからだ。
地上部隊の武装局員の平均魔導師ランクはC〜D程度らしい。このランクの局員の安全を考えると、少数で任務に当たらせるのは危険がある。そんな理由もあり、1つの任務に複数人で対応することが多いため、事件に追いつかないことがあった。ちなみに副官さんからの愚痴で、本局の平均はB以上らしい。
なら訓練に力を入れたり、人材を増やそうと考えて出てくる壁の名は「予算」。次元世界やロストロギアなど、事件の規模が大きい本局の手当てなどに多く使われるため、予算の大半は本局にいってしまうとのこと。つまり、お金がある=給料がいい。確かに故郷を離れ、世界を超えて、長い間危険な任務に就くと考えれば、給料が良くなければやっていられないだろう。
少なくとも管理世界は60以上あり、それらの他に無人世界や管理外世界、観測指定世界だって様子を見な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ