第四十八話 思春期A
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自由と言っても、管理局の目の届く範囲ということになるだろう。それでも十分すぎるほどの大きな成果だった。ブーフがロストロギアだったという情報は、管理局でも上の人か、古代遺物課、無限書庫の司書のみが知ることとなった。それ以外の人には、口外しないことを約束させられた。確かに、盗まれたりしたら大変だからな。
そんなこんながあって、司書になって半年は本当に忙しかった。ブーフの有用性と言われても、こいつ単体ではあまり効果がないため、必然的に俺も協力することになる。管理局からの捜索依頼を受けたり、古代ベルカ語の解読をしたりである。夏休みの前半にものすごく頑張ったおかげで、今はだいぶ楽になってきたが。
ちなみにブーフと精神リンクを繋げられるのは、今のところ俺だけらしい。というのも、本来ならブーフのマスターとしかできないことだったが、蒐集の際、俺のリンカーコアから知識を魔力ごとかなり吸収した所為だ。そのため、ブーフは俺の魔力の波長をほぼ100%合わせられるらしい。
ブーフの力を最大限使用できるのが俺だけだったというのも、「保護観察者」に選ばれた理由のようだ。そりゃ、そのためだけにぎりぎりまで魔力を蒐集される訳にはいかないだろう。知識だって持って行かれるので、機密を持っている人間は余計に無理だ。なら、もう俺に全部任せちゃえばいいんじゃね、という投げやり理論が展開されたらしい。ブーフの所持者になれたのは良かったけど、何このもやもや感。
「……いや、うん。ブーフは本当に気にしなくていいから。なんか今までのことを思い出して来たら、切なくなってくるから。まぁお互い、ちょっと窮屈にはなってしまったけど、これで心置きなく目的に向かえるんだ。ブーフのマスターについて調べる権限だって、ちゃんと手に入ったし」
『…………』
「それに司書になったメリットは本当に大きいしな。あとなんかかっこよくね? 俺が司書になったって報告した時のみんなの顔は、今でも笑えるぞ。あれだけでも、取ってよかったって思ったな」
今までも大変だったし、これからも大変なのは事実。だけど、俺は1人じゃない。こいつらと一緒にいる道を選んだのは俺なのだから。迷ったり悩んだりはするけど、1度決めたことはちゃんと守りたい。
「そんなわけで、俺からブーフに言えることは1つだけ。……これからも友達件、協力者ということでよろしくな」
『……あぁ。今ほど、己に手がないことを悔やむことはないな』
俺がにやついた顔で差し出した手に、ブーフは自身の表紙と触れさせることで応えてくれた。
******
あの後、調べ物を再開した俺たちはいつも通りの作業に戻った。そして昼食の時間になったため、家に帰って空腹を満たす。今日の予定を確認すると、地上部隊に仕事の成果を届け
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