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少女1人>リリカルマジカル
第四十八話 思春期A
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らいい。だけど、気づかれたら終わりなのだ。供出をして、危険性がないと判断されたらいい。だけど、子どもの俺の手に再び戻ってくる可能性は低いだろう。俺自身は所有者でもなんでもないのだから。そして一番最悪なことは、ブーフを封印処置されることだった。

 出会いは偶然で、一緒にいるのもなりゆきみたいなもの。それでも、ブーフは俺の友達なのだ。もしもの可能性がないと断言できない現状をほっておくのは無責任だろう。だから動くことにした。どうやったら俺に、ブーフを持つことが許されるのか。認められるのかを。

 その結果が、地位と責任を手に入れることに繋がったのだ。


 もともとブーフは無限書庫に保管されていた魔導書だ。実質な管理権は、最初の所有者か管理局のそれも本の管理をしている人になる。ロストロギアの場合、古代遺物課の方に回される可能性もあるけど、その時はブーフの有用性は無限書庫だからこそ生きることを進言すればいい。管理局にとって有益になると判断されたロストロギアなら、封印処置を免れるかもしれない。

 ここまで詰められたのは、実は副官さんのおかげだったりする。ある程度の方針は立てられたが、管理局の協力者が必要だったため、俺は副官さんに相談をした。最初は当然怒られた。そりゃあもう、ものすごく。それでも、俺に司書の資格を取ることを進め、管理局に手を回してくれたのは彼だった。副官さんには、本当に大きな恩ができてしまった。

 本人は、『その辞書の能力が本当なら、確かに無限書庫で管理をする方がいいからな。……元犯罪者でも事件捜査に協力をしたり、更正する気持ちがあるのなら、管理局はその意思を尊重する。それがロストロギアに適応されただけだと思えばいい』とそっぽを向きながら話してくれた。もちろん、かなりの無理があっただろう。最後の最後で総司令官に話をした時は、渋そうな顔をしていたのだから。

 そんな大騒動がありながら、こうしてヴェルターブーフは管理局の「観察処置」となった。言い方は悪いかもしれないが、要は「保護観察」と呼ばれる元犯罪者が更生プログラムを受けながら、管理下に置かれている状態だろうか。そのため、ブーフには「保護観察者」が必要になるわけだが。

『えっ、俺が観察者の1人になっていいんですか?』
『一番アレに関わっていたのはお前だろ。もっとも、判断を下すのは責任者の俺がするがな。とりあえず、あの辞書が持っていた『蒐集』の能力は管理局の権限が下りない限り、使用は禁止だ。それ以外は特に制限はない。もともと無限書庫の司書に任せる予定だったからな』
『それって…』
『今まで通りでかまわないということだ。だが、あの辞書の有用性がわかるぐらいには、管理局への従事をさせろ。周りに認められれば、権利や自由をロストロギアだって手に入れられるかもしれん』

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