第四十八話 思春期A
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チを切って、今は書類の確認中。それにしても、まさかここまで趣味に嵌まるとは予想外だった。スポーツって健全だし、いい運動にもなると思うけどさ。この様子じゃ、副官さんのお腹まわりとかは安泰そうである。
サッカー関係なら、今まで見なかった映像やアニメまで見ているのだ。あとお姉さんは、ユニフォーム作りをウキウキしながらやっていた。2人とも喜んでいるのならいいのかな。
「……ん?」
ちょっと休憩したら帰ろうと思っていた俺に、机の上に置かれていた書類が目に入った。仕事関係のものは見ないように気を付けているが、副官さんがこんな目のつくところに置いているのだから、見ても大丈夫なものなんだろう。実際に手に取って内容を見てみると、当たりだった。
「……『ミッド・シャークライ』。これってチーム名か?」
「あぁ、それか。俺の親友が考えてくれた名前でな。一緒にしているんだ」
副官さんの親友と言われて、思い出すのは大柄な男性。高かった身長はさらに伸び、今では2m近い高さになったお兄さん。オーダーメイドの制服申請を何回もやりに行った背中や、寝癖でモミアゲが変な方向に曲がるのを直そうと頑張っていた姿をよく思い出す。
こそこそサメグッズを集めているという情報をエイカから入手していたが、親友の副官さんが趣味に弾けたことで、あっちも自重しなくなったのはもういつのことか。このチーム名を見る限り、生き生きとやっているようである。くまのお兄さんといい、ちきゅうやは管理局員の鬼門かよ…。
どうやらこの書類は、そのチームのポジションに関するものらしい。チームメイト1人ずつに細かいメモが書かれており、最適なゲームプレイができるように計算されている。副官さん、能力の無駄使いです。
「あいつとは、気が合ったからな。地上部隊を良くしようと、共に頑張ることを誓った仲だ。助かっている。……あいつはこのミッドの守護神だよ」
「副官さんがそんなに褒めるなんて、くまのお兄さんも嬉しいと思いますよ」
「……あいつには絶対に言うなよ」
はいはい、と俺は微笑する。副官さんは素直じゃない。こうやってちゃんと称賛の言葉を出すのは、結構珍しいのだ。それだけ、くまさんには感謝しているのだろう。副官さんは少し赤くなっていた顔を背け、咳払いをして何事もなかったかのように書類に目を戻した。
副官さんのそんな様子が微笑ましくて、ついにまにましてしまった。見られたら絶対に怒られるので、書類で隠すようにしておくけど。副官さん、もうすぐ結婚だってするみたいだし、幸せになってほしいな。
「ふーん、結構人数がいるんだ」
ペラリと書類をめくっていくと、フォワードやディフェンダーなどのポジションと名前、写真が貼られている。俺はそれを興味深く眺めていく。確かくまのお兄
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