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少女1人>リリカルマジカル
第四十八話 思春期A
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としますか。それじゃあ、いってきます」

 無限書庫への入り口が開いたので、俺たちは迷わず足を踏み出す。5年近く通ってきた場所だ。今更緊張も何もない。もちろん油断をしたら、痛い目を見るのは嫌というほどこの無限書庫で味わってきたので、気を付けはするけど。

『はい、いってらっしゃいませ。アルヴィン司書』

 後ろから聞こえてきた音声に頭を掻く。未だに慣れない敬称に気恥ずかしい気持ちになりながらも、俺は転移ゲートを潜った。



******



 今から約半年ほど前。俺は若干の黒歴史と資格を手に入れた。少し前の夏祭りの日、そのことでコーラルにからかわれたが、あの時は本当に嬉しかったのだから仕方がない。狂喜乱舞した。その目撃者であったリニスから、数日ほどビクッと避けられたのは地味に辛かったが。

 このことは、7歳の時から考えていた。副官さんから試験の概要などをもらい、時々くまのお兄さんやイーリスさんに教えてもらいながら、3年は勉強しただろう。学校の授業でも、司書関係は優先的にとっていたので、10歳の冬頃には試験を受けられるだけの下地ができあがっていたのだ。

 できれば早めに手に入れておきたいと考えていたため、俺は迷わず試験を受けた。正直合格できるかは自信がなかったが、ぎりぎり合格点に届いていたらしい。もっとも後で聞いたことだが、俺は管理局の無限書庫によく通っていたし、地上部隊にも顔を出していた人間だ。しかも高い魔力とレアスキル持ち。

 司書になれるだけの最低限必要な技術があるのなら、組織に組み込んでおくべき。という大人の事情が混ざっていたのは事実だろう。実際、無限書庫の司書資格を取ったことで、俺は管理局の職員の1人に一応は含まれる。宙ぶらりん状態だった俺を、試験官の人が考慮した可能性。純粋に自分の力量で手に入れた資格と言うには、難しいかもしれない。

 それでも、俺自身必要なものだったし、無限書庫の司書になったことに後悔はしていない。だからどんな思惑があろうと、俺自身に損がない限りは気にしないことにした。副官さんも俺のそんな性格を知っているから、大人の事情を含め、ちゃんと教えてくれたのだろう。


『しかし、ますたーが司書資格を本当に取られるなんてね。取ってもいいかも、とは確かに言っていましたが』
「おかげさまで、これでひもにはならずに済みそうだ。司書資格があれば、無限書庫の本の管理ができるし、調査権限だってある。ここなら多少の無理が通せるからな。母さんたちにも、堂々と管理局に行く口実ができあがったし」

 司書になったと言っても、未だに俺は末端の立場。将来は悠々と司書の仕事をしながら、次元世界をぶらぶらするのも悪くないと思っている。冒険家を主軸にしたいが、定期的な収入が怪しいのはまずいだろう。とり
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