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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七話 説得
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は簡単だろう」
「ターレル副議長の言う通りだ。地球教の問題も有る。同盟にとっては安全保障上の一大事だ。猶予は出来ない、何をグズグズしている」
この二人、サンフォードの排除には賛成の様だ。弱みを握って傀儡として操るというのは考えないらしい。

「そう簡単には行かない。金を受け取っているのはバラースでありサンフォード議長は表向き関係ないんだ。ルビンスキーの証言だけでは信憑性に欠けると言われるだろう。おそらく万一の時にはバラースに全て押付けて切り捨てるつもりじゃないかと考えている。サンフォード議長はなかなか狡猾だよ」
トリューニヒトが嘲笑交じりに答えるとターレルとボローンがまた顔を見合わせた。

「実際にサンフォード議長が関係無い、収賄はバラース一人の問題という可能性は無いか? ……いや、無いか。バラースは常に議長の顔色を窺っている。フェザーンに攻め込めというのも明らかに議長の意向だろう。となるとやはりバラースは隠れ蓑で真の受取人はサンフォード議長か……」
ボローンが考えながら話すとターレルがウンウンというように二度頷いた。

「となるとバラースを寝返らせるしかないな」
チラッとボローンがターレルを見た。同意を求めたのだろうがターレルは首を横に振った。
「上手く行くかな? 議長の後ろ盾が無ければ誰も相手にしない奴だ。バラース本人もそれは分かっている。裏切るかどうか……」
ボローンが顔を顰めた。ターレルの言う通りだ、バラースが裏切る可能性は決して高くない。

「説得に手間取ってサンフォード議長に気付かれるとバラースの命も危ないだろう」
「……」
「サンフォード議長、いや地球教が動きかねない。彼が殺されれば全てが闇の中だ」
私とホアンが指摘すると二人がギョッとしたような表情を見せた。

「ではどうする? このまま放置は出来んぞ」
挑むような目と口調でボローンが問い掛けてきた。
「確かに放置は出来ない、フェザーンにサンフォード議長を切り捨てさせる事を狙っている」
トリューニヒトが答えるとターレルとボローンが顔を見合わせた。

「フェザーンは貴族連合軍を同盟の力を使って追い払いたがっている。そのためにサンフォード議長をせっついているのだろう。だがサンフォード議長に軍を動かす力が無いと判断すれば……」
「……ボルテックはサンフォード議長では無く国防委員長である君に接触してくる、そこでサンフォード議長失脚の証拠を提出させる。そういう事だな、トリューニヒト」
「そう言う事だ、ボローン。その後は君にあの二人を預ける事になる」
ボローンが目を細めた。点数を稼げると思ったか。

「そこまでシナリオが出来ているなら何故私達をここに呼んだのだ?」
ターレルがじっとトリューニヒトを見た。ボローンも同様だ。二人とも強い視線だがトリ
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