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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七話 説得
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キーが嘘を言ったという可能性も有るだろう」
「その可能性は無い、彼は我々を頼る他に生き残る術が無いんだ。我々に嘘を吐けば命が危うい事を理解している」
「我々?」
「私、シトレ元帥、ヴァレンシュタイン中将だよ、ボローン。我々が見捨てればあっという間に地球教の手によって命を失う事になる」
その通りだ、フェザーン、地球教にとってルビンスキーは抹殺しなければならない存在だ。特に地球教にとっては失敗者であり裏切り者に等しい存在だろう。そしてサンフォードも出来る事ならルビンスキーの口を封じたいと思っているはずだ。ルビンスキーは我々を裏切る事は出来ない。
「ルビンスキーと話は出来るか?」
ターレルが問い掛けたがトリューニヒトは首を横に振った。
「無理だ、彼はハイネセンには居ない。ここは危険すぎる」
また二人が顔を見合わせた。
「何処に居るんだ?」
トリューニヒトがまた首を横に振った。
「残念だが教えられない。君達を信用しないわけではない。だが何処に敵が居るか分からない状況だからな。君達も知らない方が良い」
ターレルもボローンも不満そうな表情をした。ルビンスキーはハイネセン到着後軍の或る施設に移送された。その後、戦艦ハトホルに密かに戻され匿われている。後方のハイネセンに居るより戦場の方が安全だと判断された。ルビンスキー自身もそれを望んだ、皮肉な話だ。
「シトレ元帥も襲われた、念には念を入れておきたいんだ」
「あれは精神異常者の犯行だろう?」
「……」
「違うのか?」
「実行者は精神異常者かもしれない、しかし何者かに使嗾された可能性が有る。誰が裏に居たのやら……」
ターレルが愕然としている。ボローンは唸り声をあげ“信じられん”と呟くとサンドイッチを一口つまんだ。何かを考えながら咀嚼している。
「しかし、本当なのか? いくらなんでもフェザーンそのものが議長を買収していたなど……」
「ターレル副議長、レベロ財政委員長が裏を取った。間違い無い」
トリューニヒトが私を見ると二人も私を見た。
「間違い無い、フェザーンのある企業から金が送られている。その企業だがフェザーン政府主導の開発事業に絡んではいるが実態は殆ど無い。株式会社の形態をとっているが株を所有しているのはフェザーン政府が百パーセント出資している国営事業会社だった」
ターレルとボローンが顔を見合わせた。
「ルビンスキーを拉致して以来、フェザーンが絡むとサンフォード議長の言動には不可解な点が多かった。君達も思い当たるフシは有るだろう。彼がフェザーンの紐付きだと分かれば合点がいく」
ホアンの言葉にターレルが大きく息を吐いた。
「世も末だな。最高評議会議長がフェザーンの飼犬か。しかしそこまで分かっているなら何故あの二人を弾劾しないんだ? 追い落とすの
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