第三章
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社会なら何処でも同じでありトルストイの息子の一人も家督相続権を持っていなかった。正妻の子ではなかったからだ。
「酔狂と言うしかないが公爵は本気であられる」
「何か言えばそれこそだ」
「決闘か」
「それだ」
話す一同の顔が嫌悪に満ちたものになっていく。
「だからだ。公爵の前ではこれは言わないでおこう」
「そうだな」
こう結論が出るのだった。そうして彼等は今は公爵の前では沈黙を守った。しかしウィリアムはこのことを完全に見抜いていたのだった。彼は己の屋敷で執事に対して話していた。
「あの決闘や巷での噂は聞いている」
「左様ですか」
「私やジョージに対して色々と言っているな」
「それに関しましては」
「言わずともいい」
執事に対して冷静に言葉を返した。
「わかっている。ジョージは馬鹿にされている」
「はあ」
「妾の子だからだ」
それ以外に理由はない、断言さえしていた。
「ジョージがな」
「それですか」
「だがそれは違う」
しかしここでウィリアムは言った。しっかりとした声で。
「それはな。違うのだ」
「ではジョージ様は」
「私の弟だ」
はっきりと言い切ってしまった。今ここで。
「それ以外の何者でもない」
「ではこのままイートンに入って頂き」
「ケンブリッジにもな」
巷の噂通りのことを考えていたのだった。彼はあくまで弟のことを考えていた。
「入ってもらう。先はどうなるかわからないが」
「爵位につきましては」
「一応話は出ている」
このことも話すのだった。
「男爵か。そうしてもらうことになっている」
「男爵ですか」
「伯爵、いや子爵」
いづれも貴族の爵位である。公爵からはじまり侯爵、伯爵、子爵、そして男爵となっている。男爵は爵位を持っている貴族の中では最も下とされているのだ。
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