第八章
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」
「あの人がなの」
「そう、あの人が脇田セツ」
名前がまた言われる。
「あの人が最初に佳代子のひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんに教えてね」
「それでその言葉でひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんが結婚して」
「ええ」
言葉が繰り返された。
「お母さんも佳代子も生まれたのね」
「そうよ。だからね」
また優しい声で娘に言う。
「ひいひいお婆ちゃんの言ったこと。よく覚えておくのよ」
「うん」
佳代子はお母さんの言葉に頷いた。そうして写真の中にいるセツを見上げた。写真の中のセツは相変わらず真面目な顔をしている。しかしその顔が何処か微笑んでいるように見えたのだった。お母さんとそして佳代子を見ながら。優しい微笑みで。
妾の子 完
2008・8・24
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