暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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余した吸血鬼にはちょうどいい遊び相手だ。その前に第四真祖がナラクヴェーラと戦うというのなら、その見物もまた一興。どう転んでもやつの退屈はまぎれるよいうわけだな」

「そんな……」

 ガルドシュは、絃神島への攻撃をしないことを条件にナラクヴェーラの制御コマンドの解析を要求してきた。
 ナラクヴェーラが動いてしまっている以上それに従うしかない。

「どのみち私には選択肢はないってわけね。いいわ。だけどこの貸しは高くつくわよ」

 ガルドシュは部下を引き連れて部屋から出て行く。
 浅葱が部屋の奥にある扉を乱暴に蹴り開けた。
 冷蔵室の中には、魚や肉などではなく、ラックマウント式のHPCサーバー……いわゆるスーパーコンピューターである。回路を冷却するためにキンキンに冷やされた部屋の中へと、浅葱が入ろうとすると思いがけない方向から声がした。

「──焦るな、娘」

 眠っていた凪沙の口から流れ出したのは、いつもの声とは違うようだった。
 短く結い上げた凪沙の髪が解け、腰近くまで流れ落ちている。

「心を乱すな。おまえとその機械(ガラクタ)の性能なら、滅び去った文明ごときの書きつけを読み解くのに、さして時はかかるまいよ」

「凪沙……ちゃん?」

 普段とは別人のような気配に戸惑う浅葱。
 雪菜は驚愕の表情で首を振る。

「いえ、違います……この状態は、神憑りか……憑依……?」

「ふふ、そうか。おまえも巫女だったな。獅子王の剣巫よ」

 凪沙はそう言って愉快そうに笑った。

「ならばおまえにもわかっていよう。心配せずとも、あの坊やたちが時を稼いでくれる。そこの娘の策が練り上がるまでの時はな」

「あなたは……いったい……!?」

 雪菜が鋭く目を細めて訊き返す。しかし凪沙はなにも答えない。無言で静かに瞼を閉じて、その場に崩れ落ちる。
 床に激突する寸前に雪菜が抱き留めた。

「今のは、なに? 誰なの?」

 浅葱の質問に、雪菜は黙って首を振る。
 雪菜もなにが起きたのかはわからなかった。

「藍羽先輩。携帯電話を貸していただけますか?」




「あれがナラクヴェーラの“火を噴く槍”。まあまあ、いい感じの威力じゃないか」

 楽しげなヴァトラーを睨みつけ、苛立つ彩斗と古城。

「ああくそ。なんであんたがここにいるんだ。自慢の船はどうした!?」

「ああ。実は“オシアナス・グレイヴ”を乗っ取られてしまってねェ」

 ヴァトラーの飄々とした口調でいう。

「乗っ取られた!?」

「そうそう。そんなわけで、命からがら逃げてきたんだよ」

「それにしてはずいぶん冷静じゃねぇか、ヴァトラー」

 殺意にも似た視線を向ける彩斗にヴァトラーは薄く笑
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