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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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の囮サ」
サングラスを少しズラしたヴァトラーが、美しい碧眼を悪戯っぽく細める。
「囮だと? こんなところに
特区警備隊
(
アイランド・ガード
)
を集めてなんの得がある?」
「それはもちろん標的が必要だからだよ。新しく手に入れた兵器のテストにはサ。きみたちも、黒死皇派がこの島になにを運び込んだのか、忘れたわけじゃないンだろ」
「……兵器!?」
その瞬間、今までの違和感が全て繋がっていく。
「──ナラクヴェーラか!?」
古城の叫びに呼応するかのように、瓦礫を撒き散ら巨大な影が姿を出現させる。
「了解だ、グレゴーレ」
無線を切ったガルドシュが、ゆっくりと浅葱たちのほうに向き直った。
浅葱は、タブレットPCに映し出された中継画像を、放心したように見つめる。
ナラクヴェーラが閃光を放つたびに、巨大な爆発が
増設人工島
(
サブフロート
)
を揺らす。
「──ということだが、まだなにか質問はあるかね?」
そんな浅葱たちを無表情で眺めて、ガルドシュが訊いた。
沈黙する浅葱の代わりに、雪菜が口を開く。
「なぜですか」
「……なぜ?」
「どうしてあなたたちがここにいるんです?」
「我々の目的はすでに説明したと思ったが?」
「いいえ、そうではなく、なぜアルデアル公があなたたちに協力したのか、ということです」
ガルドシュは、かすかな驚きの色を浮かべる。
「そうか。服装は違うからわからなかっただ、きみはあの夜の、第四真祖の同伴者だな」
「ここは“オシアナス・グレイヴ”の中なんですね」
雪菜がうなずいて薄く溜息を洩らす。
頬に傷を持つ大柄の老人。ヴァトラーが古城を招待したあの夜、給任を勤めていた彼の執事──
「なぜですか。獣人優位主義の黒死皇派は、戦王領域の貴族であるアルデアル公と敵対関係にあるはずです。ましてや彼は、あなた方の指導者だった黒死皇派を暗殺した張本人なのに──」
「そう。だから魔族特区の警備隊も、この船を疑おうともしなかった。この船の乗組員の約半分は、我らが黒死皇派の生き残りだ。しかし、ああ見えてヴァトラーは貴族だからな。自分の船に乗り組んでいる船員の素性など、いちいち詮索したりはしない。船員を雇った船の管理会社の責任、ということになるな──」
雪菜は不快そうに眉をひそめた。
「アルデアル公は、なにも知らなかった、と言い張るつもりですか。そんなことをして、彼になんのメリットが?」
「不老不死の吸血鬼の考えなど知ったことではないが、おそらくやつは退屈だったのだろうさ」
「──退屈?」
「そうだ。だからナラクヴェーラとの戦いを求めた。真祖をも倒しうるやもしれぬ神々の兵器。暇を持て
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