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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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面には、“浅葱”の表示浮かび上がる。
浅葱はまだ気を失ってる。少しの不信感を抱きながら応答するる。
「どうした、浅葱?」
『残念だが違うぜ、緒河の坊や」
電話回線から聞こえてきたのは、浅葱の声ではなかった。それは、浅葱の相棒の人工知能の声だった。
「なんだ。お前かよ、モグワイ。どうした?」
『少し、まずい状況になった』
「まずい状況?」
モグワイは電話越しに信じられないことを口にする。
『浅葱の嬢ちゃんたちが黒死皇派の連中に捕まった』
言っている意味を理解するまでに数秒の時間がかかった。浅葱は今保健室にいるはずだ。雪菜たちと一緒にいるはずだ。
仮に連れ去られたとしても雪菜がいるのに連れ去られるわけがない。
だが、その考えは彩斗のほんの十数分前の記憶が否定した。雪菜は“雪霞狼”を所持していない。さらにあの場には、凪沙もいる。
「クッソ……!」
教室から飛び出して保健室へと向かう。保健室に近づくに連れて鼻が異臭を捉える。
「……血の臭い」
彩斗はさらにその足を早めて扉が開け放たれていた保健室へと飛び込んだ。
「──アスタルテ!?」
そこで目にしたのは、淡い真紅の体液にまみれて床に横たわる
人工生命体
(
ホムンクルス
)
の姿だった。
「この傷……銃創!? いったいなにがあったの!?」
彩斗とほぼ同時のタイミングで現れた古城と紗矢華。駆け寄ってきた紗矢華が、アスタルテの傷口を確認する。
すでに身動きができずにいるアスタルテが、かろうじて残っていた意識で何かを伝えようと息を吐く。
「──報告します、第四真祖。現在時刻から二十五分十三秒前、クリストフ・ガルドシュと名乗る人物が本校校内に出現。藍羽浅葱、暁凪沙、姫柊雪菜の三名を連れ去りました」
「な……!?」
アスタルテが伝えた情報に、古城と彩斗は絶句する。
そこには、確かにアスタルテ以外の姿はどこにもない。
「彼らの行き先は不明。謝罪します……私は彼女たちを守れなか……った……」
本来なら生きてるのが奇跡のような状態の少女がそんな謝罪を口にする。
「お、おい、アスタルテ!? しっかりしろ、アスタルテ──!」
古城がアスタルテの耳元で必死に呼びかける。その横で紗矢華が、懸命に止血をする。
「……モグワイ……浅葱たちはどこにいる」
ずっと通話状態になっていたスマートフォンを耳に当て直す。
『詳しい場所はわからないが、今は絃神島の外だ』
「浅葱たちは無事なんだよな……」
スマートフォンを握りしめる力が強くなる。
『ああ。今の所は無事だ。だが……』
突如として電話は途絶えた。
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