暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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「浅葱が……なるほど、そういう話か……」

 古城が重々しくうなずいた。
 彩斗も作戦の意図を理解した。浅葱が暴走を止めるコマンドを解析する時間を稼げということなのだろう。

『──足止めだけでいいんです。無理に破壊しようとして、被害を拡大するような真似だけはやめてください。あと、それから紗矢華さん』

「なに? 私にできることならなんでも言って!」

 雪菜は名前を呼ばれて紗矢華が、声を弾ませながら携帯に耳を押し当てた。

『暁先輩と緒河先輩と話したいことがあるので、ちょっと離れてください』

「え!? ええ!?」

 泣き出しそうな表情で紗矢華はふらふらと後ずさり、その場でうずくまって膝を抱えた。

「……話ってなんだ、姫柊?」

『実は、その──』

 紗矢華さんのことなんですけど、と声を潜めて雪菜が語り出す。

「「……えっ」」

 雪菜の話を聞き終えた古城と彩斗は、沈黙した。
 短い情報だったが、彩斗は先ほどの行動を後悔してしまう。

「わかった。とりあえず足止めについては任せろ」

『はい。先輩がたもお気をつけて』

 そう言い残して電話が切れる。古城はポケットに携帯を突っ込みながら、破壊された監視塔の方を見た。
 いまのところナラクヴェーラは、静かだ。
 だが、やつはこの状況でも周囲をスキャンして破壊目標の情報を収集している。

特区警備隊(アイランド・ガード)の撤退状況は?」

「サブフロートからはギリギリ脱出できたようだね。負傷者の数も予想したほどじゃない」

 古城の質問に即答したのは、ヴァトラーだった。
 やはりヴァトラーは、タイミングを見計らっていたようだ。

「わかった。だったらあいつは俺が相手する。捕まってる浅葱たちを頼む、那月ちゃん」

 古城は一方的にそう言い切った。

「それは俺がやる」

 古城の言葉に彩斗がいち早く反応する。古城がなにかを言おうとするがそれを遮って、彩斗は口を開く。

「考えてみろ。この場でもしも俺の眷獣とおまえの眷獣が暴走でもしてみろ。今度こそこの島は確実に沈むぞ」

 言い返すことが出来なかった古城に、ヴァトラーが口を挟む。

「他人の獲物を横取りするのは、礼儀としてどうかと思うな、暁古城」

「黙ってろ、ヴァトラー! それにテメェこそ第四真祖(コイツ)の縄張りに入っといて礼儀知らずはどっちだ!」

「ふゥむ、そう言われると返す言葉もないな」

 青年はあっさり納得して引き下がった。

「それでは領主たる古城に敬意を表して、手土産をひとつ献上しよう。古城が気兼ねなく戦えるようにね──“摩那斯(マナシ)”! “優鉢羅(ウハツラ)”!」


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