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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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「古城!?」

 少女の悲鳴が聞こえてくる。悲鳴の主は考えるまでもなくわかった。教室から古城と一緒に出て行った浅葱だった。
 屋上庭園に辿りついた彩斗は、目を疑った。
 崩壊しかけている屋上。そこで両耳を押さえて倒れこむ浅葱。膨大な魔力を押さえ込もうとしている古城。
 このままでは、学校が壊れると思った時、小柄な影が古城たちの頭上から舞い降りた。

「──獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る!」

 制服のスカートと黒髪を翻しながら着地する銀色の長槍を構えた女生徒。彼女は崩壊する屋上へと穂先を突き立てた。

「雪霞の神狼、千剣破の響きをもて楯と成し、兇変災禍を祓い給え!」

 ありとあらゆる結界を切り裂き。真祖の魔力をも無効化する獅子王機関の兵器、雪霞狼の輝きだ。
 その輝きに古城の眷獣が止まる。
 屋上のあちこちがひび割れまるで廃墟のようになってしまった。ひびはギリギリのところで止まり浅葱は無事だった。

 古城と紗矢華、彩斗は疲れたと言わんばかりにその場にへたり込む。
 そんな古城たちにゆっくり雪菜が近づいて行く。

「二人ともこんなところで、なにをやってるんですか?」

 彼女は、古城たちの眼前に再び“雪霞狼”を突き立てる。
 戦闘の気配を感知して、教室から飛び出してきたのか、肩で息をしている。

「いや、それは……この嫉妬女が一方的に襲いかかってきて──」

「ち、違うの。そこの変質者が雪菜を裏切るような破廉恥なことをするから──」

 古城と紗矢華は、叱られた子供のように互いのせいにし合う。
 雪菜は彩斗の方を見やる。一応真意を確かめようと第三者の意見を求めているようだ。
 彩斗は無言で頷いた。
 雪菜は深いため息をついて古城たちの方に向く戻る。

「なにがあったのか、だいたいの事情は想像できますけど──紗矢華さん」

「は、はい」

「第四真祖の監視は、わたしの任務です。それを妨害することが紗矢華さんの望みですか? そんなにわたしが信用できないということですか?」

 紗矢華が激しく首を振る。
 雪菜は深々と息を吐く。

「それから先輩……こんなところで眷獣が暴走したらどうなるか、もちろんわかってるんですよね。生徒のみんなになにかあったら、どう責任を取るつもりだったんですか?」

「……すみません。反省してます。すみません」

 古城はよほど反省しているようだ。
 確かに雪菜が来なければ、古城の魔力で浅葱を傷つけていた。彩斗がその場にいたとはいえ、眷獣を実体化させるだけでも途轍もない魔力で二次災害をもたらしていたかもしれない。

「緒河先輩」

 雪菜の不意な声に肩を一瞬震わせる。
 先ほどまで怒っていた雪菜に急に呼ばれ驚いた。

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