第五幕その十
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「それで美味しく食べられるわ」
「保温器なんですね」
「そっちの世界じゃそう言うのね」
「はい、こっちの世界にもあるんですね、けれど」
恵梨香はその容器、魔法の保温器を見つつ言うのでした。
「魔法を使うんですね」
「オズの国だとね」
「そういえばジャーも他の器具も」
「全部魔法でね」
動くというのです、オズの国では。
「そこもあんた達とは違うわね」
「私達の世界では全部電気で動きますけれど」
「オズの国では魔法よ」
「それは誰が出してくれているんですか?」
「地下からどれだけでも出て来るよ」
「どれだけでもですか」
「そうよ、死の砂漠にもオズの国にもそのまま魔力があってね」
ビーナはドロシーにこちらの世界のこともお話します、どうしてオズの国のあらゆるものが魔法で動くかということを。
「それはどんどん生み出されて地面の下にも入っていって」
「その魔力をですか」
「そう、使っているのよ」
「だからオズの国のものは魔法で動くんですか」
「幾らでも好きなだけ出るから」
「魔力がなくなることもないんですね」
「ものだけじゃなく人や生きものも持っていて常に生み出しているからね」
それこそです、あらゆるものが魔力を生み出しているからだというのです。
「オズの国は魔力におまらないのよ」
「じゃあエネルギー不足も」
「ないわよ」
それも絶対にだというのです。
「この国はそうした国なのよ」
「素晴らしいですね、そのことも」
「そうでしょ。魔法は素晴らしいのよ」
ビーナは恵梨香にこのことを強くお話します。
「ただ。魔法を使うのはね」
「オズマ姫と魔法使いさんと」
「グリンダよ」
この偉大な魔女のことはビーナが出しました。
「後は北の国の魔女ね」
「限られた人達だけなんですね」
「魔法は悪用されると大変なことになるからね」
「だからですね」
「魔法は一杯あるけれど魔法を使う人は限られているの」
それがオズの国です、オズの国では魔法自体を使える人は本当に限られているのです。オズマがそう決めているのです。
「魔法は誰でも利用出来てもね」
「使うことと利用することは違うんですね」
「そういうことになるわね。じゃあね」
「はい、それじゃあですね」
「そこに入れてね」
魔法の保温器にです。
「温かくしておくのよ」
「わかりました、それじゃあ」
こうして恵梨香はお握りのうちの何割かを保温器に入れました、そうしてお握りを全部作ってからです。
ビーナと一緒に宮殿を出て用意してもらった休憩室に行くとです、そこに小柄で頭の禿げたお年寄りが立っていました。燕尾服にズボンといった格好がよく似合っています。その手には黒いシルクハットがあります。その人を見てです。
恵梨香はすぐに
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