第五幕その九
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「これも」
「そうさせてもらうわね」
「それじゃあ」
「さて、後はよね」
ビーナは恵梨香とその小さなお握りの話をしてから恵梨香が握っていくお握り達を見て今度はこう言いました。
「川草を巻くのよね」
「はい、海苔を」
「その海苔もだけれど」
「色が違うんですよね」
「ええ、採れた国によってね」
その国によってだというのです。
「色が違うからね」
「黒じゃないんですよね」
「そうよ、御飯と一緒でね」
「じゃあエメラルドの都の海苔は」
「緑色よ」
やっぱりこの色になるのでした。
「それになるわ」
「そうですよね、それじゃあ」
「それじゃあって?」
「御飯の色は緑ですから」
ここから考えての言葉でした。
「マンチキンやギリキンの海苔を集めて」
「四方の四国の?」
「はい、そうしてです」
そのうえでだというのです。
「四色のそれぞれのお握りにしてみます」
「それは面白そうね」
ビーナも恵梨香のその言葉を聞いて頷いて言います。
「何かと」
「そうですよね。それじゃあ」
「ええ、やってみたらいいわ」
「四国の海苔は」
「全部あるわよ」
都合のいいことにです、どの国の海苔もあるというのです。
「それじゃあね」
「はい、四国の海苔を全部出して」
それでお握りを巻くことにしました、やがてお握りは全部出来ました。恵梨香はかなり素早くしかも見事な形のお握り達を作りました。
そのうえで、です。今度は四国の海苔でお握りを包んでなのでした。
お握りを完成させました、ビーナは恵梨香が作ってくれた自分の前にあるその小さな三角のお握りを見て言うのでした。
「さて、じゃあね」
「今すぐですか?」
「いえいえ、そんなことはしないわ」
ビーナは恵梨香の問いに畏まって答えました。
「今はね」
「じゃあパーティーの時にですね」
「ええ、食べるわよ」
そうするというのです。
「その時にね」
「じゃあ今は置いておいて」
「そうするわね。とても美味しそうですけれど」
「我慢してですか」
「その時に楽しませてもらうわ」
実にもの欲しげではありますが今は我慢するというのです、こう話してそしてでした。
恵梨香にです、こうも言いました。
「じゃあ温かいままにしたかったら」
「はい、魔法の容器にですね」
「入れておくのよ」
そうして冷やさない様にしろというのです。
「いいわね」
「わかりました、じゃあすぐに」
「それだからね」
ビーナはキッチンの端にある緑の長方形の容器を指し示しました、それは恵梨香が見たところ巨大な弁当箱です。
「それに入れたらね」
「お握りは温かいままですね」
「他の食べものもね」
温かいままだというのです。
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