暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
嘆きの歌
[5/5]
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
残り時間は、はっきりとは分からない。しかし、僅かなのは抗いようもない事実だった。
「………リータ…ねーちゃん」
胸に満ちる思いの全てを言葉にするには、残された時間はあまりにも無情すぎた。
傷付いた、空色の髪を持つアバターを左腕で思い切り抱き締め、レンはありったけの感情を込めて囁きかけた。
「ありがとう」
ありがとう。
僕に感情を思い出させてくれてありがとう。
ありがとう。
僕の閉じた世界を広げてくれてありがとう。
ありがとう。
僕を救ってくれて、ありがとう。
右手をゆっくり上げ、握り締められていた短刀《小太刀》の切っ先を腕の中の女性に向ける。鋭く尖った剣先が、リータの胸の中央、クリティカル・ポイントの一つである心臓の真上に触れる。
「さよなら」
言葉と同時、腕が振り下ろされた。
これまで幾多の命を奪ってきたその刀身は、あっさりとリータの胸部装甲を貫き、残り僅かなHPをまとめて消し飛ばした。
…………さよなら、レン君。
そんな声が、ささやかな微風となって意識に流れ、消えた。
リータという一人の女性のアバターは、甲高い破砕音とともに千の細片となって爆散した。華奢な体は無数のポリゴンの欠片となり、空に舞い上がっていく。それらは夜闇の大気と混ざり合い、そして――――
消えた。
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ