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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
嘆きの歌
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いたレンの意識をかろうじて繋ぎ止めた。
同時。
二人に襲い掛かろうとしていた殺人者達が、空中で真反対に吹き飛ばされた。
それは
蕾
(
つぼみ
)
。
地面を割るようにして現れた、一枚だけで三メートルはあろうかという巨大な花びらの群れが、レンとリータを優しく包み込んだのだ。強固な花弁が、あらゆる攻撃から内部を完全に守護する。
だが、その花弁はリアルなものではない。一枚一枚が薄透明に透き通っていて、それ自体もまた薄緑色に発光していた。
「しん………い?でも、誰が………」
壁のように立ち塞がっている花びら越しに周囲を見回すが、血気だった男達の身体に阻まれ、なかなか全容を見ることはできない。
これだけの規模の心意を長時間維持する事も大概だが、それをレンの知覚範囲外から遠隔で行使するなど、もはやヒトの為せる技ではない。心意システムは多大な集中力を用いるため、戦闘中ではもちろんのこと、自らの皮膚を介さない遠隔で行使するとなると、一気にその難易度を増すのだ。
もう一度首を巡らせるが、やはり術者――――過剰光を体に纏っているプレイヤーは見えない。
きょろきょろと周囲を見回すレンだが、その動きは唐突に、それこそ凍らせたかのように停止させられた。
首に回された、華奢な二本の手に。
「………ごめんね」
そう、言った。
やっと三分間経過したのか、消えつつある鮮血の下から綺麗なブルーの輝きが見て取れる前髪の奥から、見上げて言う。
ぽつり、と。
思わず零れ落ちたとでもいう風な、かすかな声。
「ごめんね、レン君。お姉さんが……もっと早く気付いてれば。君も………お姉さんと同じように、傷付いた人間だって、分かってれば……」
ごめんね、とリータは再三繰り返して言った。
真珠のような光の粒が女性の目尻に盛り上がり、次々に滴り落ちて空気に溶け消えた。
―――そんなことない。そんなことは……ない。
そう言いたかったのに、厚い塊がノドを塞いで声を出せない。せめて懸命にかぶりを振る。
その頬を、細い指先がそっと撫でる。
「ホント……、ホントはね。今日の朝、お姉さんは君を殺そうとしたのよ」
驚愕に息を呑む。
プレイヤーを守るシステム的保護フィールド、アンチクリミナルコードだが、その眼をかいくぐる方法は残念ながら存在している。
それは、コードの方が悪いのではない。その恩恵を受けているプレイヤー側の話だ。
どれほど
コード
(
システム
)
が完璧なものであっても、それを使いこなす者が不完全であれば、コードの方も簡単に不完全なものとなってしまう。
一般的に、プレイヤーに一番隙ができるのは睡眠時である。
他プレイヤーの座標を人為的に動かす事のできるほとんど
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