暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
嘆きの歌
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討ちを狙ったのだ。

レンという、()()()()カーソルを持つプレイヤーの腕を狙って。

「………………………………」

たとえ装飾用にも見える短剣で与えた傷でも、数ランクも下の武器で与えた傷でも、ダメージを負わないという選択肢はありえない。

100でも、10でも、1でさえも、ダメージはダメージである。

それがHPの減少であることは変わりない。

そしてそのせいでオレンジプレイヤーになることも、変わりはない。

犯罪者(オレンジ)プレイヤーには、一般(グリーン)プレイヤーとは違い、様々な制約に苦しむ事になる。

その大半はもっぱら、対人、人間関係であろうが、しかしシステム的な面を突き詰めていくと一つしかない事はあまり知られていないのではなかろうか。

それは、”アンチクリミナルコード圏内への侵入禁止”

一見、全プレイヤーに味方しているコードであるが、しかしそれにも保護対象外が冷然と存在している。

それが、オレンジカーソルを所有するプレイヤー。

禍々しいその色に染まったカーソルを有する者が《圏内》に入ろうとすると、システム的に破壊不可能に設定された守衛NPCが出現し、つまみ出されてしまう。

そう、”つまみ出されて”しまうのだ。

金を払えば入れてもらえるとか、監視の目を掻い潜るとか、そんな裏技的突破手段は一切存在していない。文字通り、彼らは絶対的な存在なのであり、今の状態のリータには限りなく酷薄で冷徹な存在でもあった。

「そん………な」

視界がぼやける。

自分が何をやっているのか分からなくなる。

奇声を上げて、殺人者達が各々の得物を振り上げ、自分達を殺さんと突進してくる。

それらは、レンは先ほどまで一人ずつ確実に薙ぎ払っていた。

だけど、その気が起こらない。

殺すとか殺さないとか、そういう次元ではなく、本当に、本質的に、何もしたくなくなる。

四肢の先から力が抜け、地面に膝をつきそうなほどに脱力する。

ずっと、本当にずっと後に生存している《六王》達を初めとするプレイヤー達は今のレンを見たら口を揃えてこう言うだろう。

あれは、諦めを起因とする《零化現象(ゼロフィル)》という心意現象だ、と。

魂からアバターに伝わる信号がゼロに埋め尽くされた状態。無力感や諦めのようなイメージがイマジネーション回路に大量に流れ込んだ結果、仮想体(アバター)が「動けない」状態に上書きされてしまう現象だ、と。

しかし、この世界の神様はみるみる視界をブラックアウトさせるレンを許しはしなかった。

許さなくて、赦さなかった。

「《花弁加護(ペタル・シェルター)》」

突然、朗々と響く発声音がアバターから剥離しかけて
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