交錯するは向ける想いか
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、秋斗は大きく頷いてから続きを語る。
「ならば戦え、命を賭して! 友を守れ、家族を守れ、想いを守れ、家を守れ、自分を守れ! 我らが想いは今一つとなった! 来る全てを跳ね返し、安息の日々を作り出そうか!」
毅然と放たれた導きに返そうと、同意を示す盛大な幾多もの兵達の声は天を突き、士気は最上へと上り詰めて行く。
いつも支えてくれる軍師も共に戦う将の一人もおらず、初めての万を越える兵の指揮を行う事になる為、秋斗には一つとして油断や慢心は無い。
例え新兵であろうとも、統一された心は戦場に於いてリミッターを外し、一人ひとりの恐怖を払拭し、死に立ち向かう事の出来る勇者と為していく。兵同士の結束と意識の統一によってより強固となったこの軍ならば、彼と共に戦うに相応しく、望む結果を出せる事だろう。
秋斗は満足そうに微笑んでから沸き立つ兵達から目を切り、馬首を巡らせて前を見据え……己が元に歩みを進めているであろう敵に向けてポツリと言葉を零した。
「孫権……お前に同じようなモノ――未来の自分達の姿と戦う覚悟が充分であればいいけどな。もし中途半端な覚悟で戦場に立つのなら……その心、これからの為に叩き潰させて貰おうか」
†
遠くに構える陣容、そこにいる将の名を聞いて蓮華達は茫然としていた。
「な、本当に黒麒麟だけなの……?」
挙げられている旗は徐のみ。まず間違いなく張飛や鳳統もいるモノだと思っていただけにその衝撃は大きい。
思春や明命は武官であるが故にその顔に苛立ちを浮かべて行く。
「それでも負けない絶対の自信があると……舐められたモノだな明命」
「はい。いくら私達の名が売れていないからと言ってもさすがに……」
闘志をむき出しにして語る両者に対して、どこか冷めた目で亞莎は一人思考に潜っていた。
――伏兵? 先の初戦でも行ったのならそれをしてもおかしくは無い。でもどこか引っかかる。天才と呼ばれるモノが同じ事を、それも続けて二度するだろうか。しかし……
思考をいくら積み上げようともしっかりとした答えなど出る事は無く、情報にしても今回は秘匿が激しく、明命や思春も兵の指揮がある為に諜報に向かわせる事が出来ずにいた。
二人の持つ強力な諜報部隊にしても、来る時機の為に袁術領のそこかしこへと向かわせている為、敵に対しては亞莎お抱えのモノを使うしかなかったのも一つ。
「とりあえず亞莎の考えを聞きましょうか」
まずは今回の軍師である亞莎の話を聞くべきだと先を向ける蓮華。しかし彼女は深い思考の迷路に捉われて耳に入っていなかった。
「……亞莎?」
「ひゃい!?」
蓮華に肩を叩かれながら訝しげに尋ねられると、素っ頓狂な声を上げて亞莎は跳ね上がってしまい、その姿に天
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