第一章
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菓子屋。ほら、あそこの」
「山月堂の支店ですね」
「そこで買ったんだよ。それも僕じゃなくてね」
「三神さんではなく」
「信者さんが持って来てくれたもので」
「そうだったんですか」
「有り難いことにね」
その有り難いという言葉のところで目を細めさせられるのだった。
「僕が買ったものじゃないから」
「そうなのですか」
「けれど。とても有り難いものだよね」
「そうですね」
その有り難いという言葉に僕は頷いた。
「それは。確かに」
「いい羊羹だよ」
また羊羹について言われた。
「昨日家内と食べたけれどこれがね」
「あの店の羊羹は確かにいいですね」
僕も結構贔屓の店なのでそれは知っていた。
「それじゃあこの羊羹は」
「そう、美味しいよ」
「ですね」
「まあそれを食べながらね。よかったら僕の話を聞いてくれるね」
「はい。それでは」
「そうだね。まずは」
また遠くを見られるなってから述べられてきた。
「あのことから話すか」
こうして三神さんの話がはじまった。それは僕にとってとても有り難い話だった。
三神さんは若い頃その地域でも札付きのワルだった。仕事は一応漁師だったが博打はする喧嘩はする女遊びはする。家に殆ど金も入れず本当にやりたい放題だった。
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