第九話 緊急学徒動員策
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第九話 緊急学徒動員策
火の国暦60年7月1日 アカデミー
ふしみイナリ
「緊急学徒動員策が発布された・・・ここ、アカデミーの生徒も戦争に参加する。」
先生の言葉に教室はどよめく。
ざわざわ、と。
今の言葉の意味を理解できた生徒は何人いただろう?
先生の悪い冗談だろうか。
緊張感なく授業を受ける私たちへの罰のつもりだろうか。
それとも、訓練の一環か。
いや、どれとも違う。
先生の顔はとても冗談を、嘘を、言っているような感じではない。
教室はまた、静まり返っていた。
「先生、あの、その緊急学徒動員策というのは本当なのでしょうか?」
隣にいたハナが静寂を破って聞いた。
この教室にいる生徒のほとんどが聞きたかった質問を。
「はい、本当です。」
先生の声はどこかいつもと違う。
緊張を帯びているのが分かる。
自分が言っている言葉がどれほど恐ろしいことか認識しているように。
「緊急学徒動員策は本日付で発布されました。これはその名前の通り、正規部隊に加えて、アカデミーの生徒もそれに参加することを決めたものです。」
・・・火影様のお考えなのかな。穏健派で知られる三代目がこれを考えるのだろうか。
ただ、近年、木の葉隠れの里は他里に比べると戦力不足が大きな問題となっている。第二次忍界大戦、岩隠れの木の葉急襲、そして現在の岩隠れとの戦争、立て続けに戦争を繰り返してきた木の葉にとっては戦力の不足が加速していった。特にあの夜・・・岩隠れによる木の葉急襲は多くの被害を出した。里を奇襲され、戦場で生き残った人も、後方にいた人も、戦場に行くはずのない人も犠牲になった。それで戦力そのものの低下、予備戦力の低下、後方支援能力の低下を引き起こし、戦場で必要とされる需要に対して、供給が追い付かなくなっているのだ。
まさに、“猫の手”でも借りたい状況なのだろう。
・・・・考えに耽っているとふと、横にいるハナに目がいった。
震えている。
腕がとかそんなんじゃない、全身が震えている。
怖いのだろうか。
戦争では、昨日あった人が今日いない。
元気だった人が腕を、脚を、思いを失くして帰ってくる。
帰ってきたとしても、
いつもなにかに怯えたような人になって戻ってくる。
ただでは済まないのだ、戦争は。
みんな・・・・何かを失って帰ってくるんだ。
怖いに決まってる・・・。
「先生、私たちはどういう任務につくのでしょうか?」
そんな不安な気持ちを振り払うかのように質問する。
「みなさんは簡単な任務です。後方支援をすることにな
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