第十一章 追憶の二重奏
第四話 初めての―――
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な事といっていいのか、それとも悪いことに、なのか、部屋にはキュルケ以外には女性が一人しかいない。
最後の一人であるロングビルは片頬だけを歪めると、何処か不貞腐れたような顔を浮かべる部屋の主であるキュルケに顔を向ける。
「そんな顔して……残念って言っちゃなんだけど、あんたの考えているような心配はいらないよ。シロウは女一人の影響で簡単に変われるような…………変わってくれる男じゃないんだよ」
目を細め、何処か悲しげに呟くロングビル。
「―――そう言う男じゃ…………ないんだよ」
「何で…………そんなこと」
「分かるかってかい?」
顔を逸らし、不満気な声を上げるキュルケの姿に、ロングビルは微かな笑みを浮かばせた。
「まあ、一番の違いは、シロウに抱かれているか抱かれてないかがだろうね。だから、多分、あの子もそのことが分かってるんだよ。それに…………他の子も何となく理解してるだろうね」
「…………ジェシカ以外も?」
ジェシカは何となくそうだろうなと言う気持ちだったキュルケだが、他の子。ルイズやシエスタもそう言う気持ちを持っているとは考えていなかった。ロングビルの言葉に、『まさか』と言う思いが浮かぶが、それと同時に何故か納得するものが感じられる。
それは、多分―――。
「―――不安」
「ん?」
「あの子。感じてなかった」
テーブルに肘を着き、立てた右手の上に頬を乗せたキュルケが、ロングビルに視線を向けず天井を仰ぎ見ている。
「ただ、不満と怒りだけだった」
「そうだろうね」
「こういう時、あの子ならすぐ不安を感じると思ってたんだけど」
「ま、確かにそういう所あるねあの子は。自分に自信がないんだろうね。だから、直ぐに不安になる」
「だけど、違った」
小さく口の中で呟くキュルケ。
「あれは、ルイズが変わった訳じゃなく、ただ、知ってただけ?」
「だろうね」
「『シロウが変わらない』ってことを…………」
天井を見上げていた視線をテーブルの上に落としたキュルケは、深い溜め息を着く。
「〜〜っぁ…………ずるいな」
再度テーブルの上に突っ伏しながらキュルケは不満を口にする。
「そうかい?」
駄々をこねる子供のようにテーブルに突っ伏すキュルケの姿を見つめながら、ロングビルは笑って首を傾げる。
そんなロングビルをキュルケはテーブルに頬をつけながら睨み上げた。
「そうよ。あたしがこんなに不安を感じてるのに、あんたたちだけがそんなに余裕を見せて…………あ〜あ、こうなったら無理矢理シロウを押し倒そうかな?」
「ならしたらいいじゃないかい? あんたはそういうタイプだと思ってたんだけどねぇ。何でそうしないんだい? 最初はそんな感じだったじゃ
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