第十一章 追憶の二重奏
第四話 初めての―――
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ケたちの時間が動き出す。最初に動いたのはドアに一番近い位置に立っていたジェシカだった。
「あらあら。これはシロウ今日は完徹みたいね。一体どんなお仕置きをされるのやら。出て行く時一瞬見えたアレって、確か乗馬用の鞭だったと思うけど……あまり無茶やってシロウに変な趣味目覚めさせないで欲しいんだけどね」
「え? じぇ、ジェシカ。あのルイズの姿見て感想ってそれだけなの? かなりって言うかとんでもなくルイズ怒っていたように見えたんだけど?!」
落ち着いた様子で顎に手をあて「ふむ」と一息着くジェシカに反し、ルイズの士郎を殺しかねないような激昂を目の当たりにしたシエスタは泡を食って両手を激しく上下に振ってみせる。そんな驚き慌てるシエスタに、ジェシカは片手をひらひらと振りながら苦笑を返す。
「大丈夫でしょ。元々あの子もこうなることを薄々予感してたみたいだし、ひと暴れしたら直ぐに大人しくなるんじゃない? 火種はシロウなんだから、鎮火の方も任せましょ」
「う、ん。でも、本当なの? ルイズがこうなることを予感してたって言うのは」
「わたしが、って言うかミス・カトレアがこの学院に来た時から何となく予想してたみたいよ。だから覚悟? はそれなりにしてたんじゃない? ―――それよりもシロウの心配をしなさい。乗馬用の鞭って言うけど、聞いた話じゃかなり痛いらしいわよ。で、時折その痛みが癖になる人が生まれるみたいで…………だから今はルイズよりもシロウがそんな変態に変態しないよう願っておいた方が先決じゃない?」
「っ、もうジェシカ。もう少し真面―――ッ?!」
冗談めかしたジェシカの物言いに、シエスタが若干頬を膨らませながら抗議の声を上げようとしたが、自分に向けられる視線の中に真剣なものが宿っていることに気付くと、慌てた様子でルイズが開け放ったままの扉へ向かって駆け出していく。シエスタのメイド服のスカートの端が扉の向こう、廊下へと完全に消えると、壁から背を離したジェシカが扉へと向かって歩き出した。
「っくふふ。こんな話を信じるなんて、シエスタってほんと可愛いわね。ああ、そうそう、あっちの二人はわたしが何とかするから、こっちの方はよろしくお願いするわね」
笑みが浮かんだ口元を隠しながら、ジェシカはロングビルに目配せした後部屋を出て行く。
ジェシカが扉の向こうに消えると、部屋の中にはキュルケとロングビルの二人だけとなった。ジェシカが後ろ手に閉めた扉が音を立て閉まると、キュルケは腰が抜けたような勢いで腰を落とし、大きく音を立てながら椅子に座り込んだ。倒れるように身体をテーブルの上に乗せると、キュルケの豊かな胸が身体とテーブルに挟まれ柔らかく歪む。もし、ここに男がいれば顔面を地面に擦り付けてでも見ようとしてしまうほどの絶景がそこにあった。
だが、幸い
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