第十一章 追憶の二重奏
第四話 初めての―――
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上。ああいう人は良い意味で男を変えるのよ。自信がない男を自信に満ちあふれた男に、乱暴者の男を穏やかな男に……そして女癖の悪い男を一途な男に、ね」
「それって、まさか―――っ?!」
思考の至った先の衝撃に、シエスタの目が大きく開かれる。
「そう。このままだと下手したら彼女に全部かっさらわれるわよ」
「どっ! どどどどどう、どうしましょうっ!?」
「ああいう人わたしも知ってるわ。昔店にいたのよね。女癖が悪い奴を一途な男に変えてしまうような人。ミス・カトレアって、その子の雰囲気に良く似てるのよ」
うんうんと何度も頷くジェシカにシエスタは駆け寄ると、その肩を掴みガクガクと揺さぶる。
「そ、そんな落ち着いてる場合じゃないでしょっ!? ど、どうしよう。もしシロウさんがそんなことになったら……あっ、る、ルイズっ! あなたのお姉さんでしょっ! 何かいい方法と言うか、対策と言うか……えっと、つまり何かない?」
ジェシカの首元を掴んだまま、顔をルイズに向け自分でも何を言っているのか分からないまま、ただ何とかしなければと言う思いを訴える。
「…………」
「…………ルイズ?」
ベッドの上で膝を抱えて座るルイズは、シセスタに声に何の反応も見せない。その様子を訝しんだシエスタが、ジェシカから手を外し身体をルイズに向ける。
「―――あ」
立てた膝に額を当て顔を伏せるルイズの姿は、傍目から見て明らかに落ち込んで見えた。下げた頭の上に暗く重い空気が満ちているのが感じられる。その姿に、シエスタは自分が口にした言葉を後悔した。
ああ、そうだ。
ミス・カトレアはルイズのお姉さんじゃないの。
実の姉が自分の好きな人と関係したなんて……ショックじゃない筈ないじゃない。
なのにわたし、何て無神経なこと―――。
「あの、ルイズ、その―――」
「―――ッああああああああああああああああああああああぁぁぁっぁぁ!!!? もう無理ッ!? やっぱり我慢できないッ!!? 一言文句言わないとスッキリしないッ!!? シロオオオオオオォォッ!! 何処にいるのっ!? 出てきなさいッ!!」
恐る恐るとシエスタが声を掛けた瞬間、ルイズは突然ベッドの上に立ち上がると、天井を見上げ咆吼した。
ルイズに向かって手を伸ばした格好のまま固まるシエスタ。他の三人も突然のルイズの奇矯な行動に驚いた顔で固まっている。ベッドの上から勢いよく飛び降りたルイズは、石像のように固まる皆の間をすり抜け駆け出し、そのまま勢いを殺すことなくドアを破壊する勢いで開け放つと外に飛び出していった。
――――――………………………。
段々と遠ざかり小さくなっていくルイズの声が完全に消える頃になってから、やっと氷着いたかのようだったキュル
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