第十一章 追憶の二重奏
第四話 初めての―――
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する哀れみの視線を向けられたレイナールとギムリは、戸惑い驚き首を傾げる。
「知らないとはやはり罪なことだね」
「はっ、はっ、はっ……残念ながら隊長が疲れてるのは別の理由だよ」
「「へ? 別の理由?」」
溜め息混じりに首を左右に振りながら答えたギーシュに、ボカンと口を開けた顔で眉を顰めるレイナールとギムリの二人。そのまま二人の顔は同時に士郎が座り込む方向に向け移動する。そこには不自然に顔を逸らした士郎の姿が。
「い、いや、そんなことはないぞ」
稽古では一滴たりとも汗を流していなかったのに、今は不自然なほどに汗を吹き出していた。文字通りダラダラと滝のように汗を流す士郎の様子に、二人の胸に言いようのない不安が湧き上がり始める。
「はっはっはっ。嘘つきは泥棒の始まりですよ?」
全く感情の感じられない乾いた声で笑い声を上げるマリコルヌ。
「隊長が疲れているのはルイズの母親のせいじゃなくて……その娘の方が原因だよ」
「その娘? ってもしかしてルイズのことかい?」
何気ない様子で口にしたギーシュの言葉に、レイナールが自分でも違うと思いながらも答えると。
「―――ミス・カトレア」
予想通りで予想外の答えが返って来た。
「「えっ?! マジでっ!?」」
驚きの余り知らず立ち上がったギムリとレイナールの二人は、まるで襲いかかるような勢いで士郎に向かって詰め寄っていく。
「ちょ、それって本当なんですか隊長っ?!」
「あの第三百四十六回お嫁さんにしたいランキングを生徒を抑えて一位になったあのミス・カトレアに何したんですかッ!?」
鬼気迫る様子で問い詰めてくる二人を無視し、士郎は遠巻きに自分を見つめるギーシュに声を向ける。
「随分回が多いな……っというかそんなランキングがあったのか?」
「学院成立時からあるって聞くね。知らなかったのかい隊長? ちなみに代表はオールド・オスマンだね」
「あのじじぃか……」
苦虫を百匹ほど同時に噛み潰したかのような押し殺した苦い声を漏らす士郎。
顔を顰める士郎に、レイナールとギムリの顔が迫る。
「と言うか話を逸らさないで欲しいんですが」
「結局どうなんですか? え? マジなんですか? 本当にあのミス・カトレアと何かあったんですか?」
焦りのあまり若干早口になる問いに対し、別の方向から反応が返ってくる。
「いやいや、そんな事を聞くのはもう遅いんだって」
「ああ、本当に遅い……遅過ぎる」
何処か達観したように見える顔で小さく揺れるように顔を左右に振るギーシュとマリコルヌ。悲しみと憤りに沈んだ声に、二人の胸に渦巻く不安が急速に形を創りだす。
「は? え? ちょ、それってまさか……」
今にも
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