第十一章 追憶の二重奏
第四話 初めての―――
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声に、ギーシュとマリコルヌは嘲笑うかのように笑った。まるで無知なものを憐れむかのような目でレイナールを見下ろす二人は、手に持ったカップを組んだ足元に置くと、同時に首を左右に振る。
「分かってない。分かってないよ」
「エルフ? アーハンブラ城? 確かにエルフもアーハンブラ城への侵入も大変だったけどね。そうじゃない。そうじゃないんだよ」
「? なら何なんだよ?」
肩を落とした二人は、力ない視線で白い綿飴の様な雲が浮かぶ青空を仰ぐと、引きつった笑みを口元へ浮かべた。
「その後、ルイズの実家が一番酷かったんだよ」
「具体的に言えばルイズの母親が」
「は? 何だそれ? どう言う意味だ?」
レイナールの横から顔を出したギムリが戸惑った声を上げる。
「まず出迎えが酷かった」
「馬車ごと竜巻で持ち上げられてね。もう中は地獄だったよ。あちこちに身体はぶつけるわ……ギーシュと望まぬ接触はするわで……っく、思い出すだけでもうっ。せめて誰か一人でも女の子がいればっ……!」
「思い出させないでくれたまえ……だけどやっぱり一番は帰る前のことだね。ルイズの母親から拷も―――稽古を受けてしまって……あの時自分が騎士隊の一員だと言わなければ……っ!」
顔を真っ青にして身体を震わせる二人を見て、ギムリとレイナールは顔を見合わせる。
「稽古を受けたって? だけど何時も結構きつい訓練してるじゃないか? 昔ならともかく今の君たちならちょっとやそっとの稽古ならそこまで言うことは……」
「「ハッ!」」
レイナールの苦笑混じりの声に、ギーシュたちは嘲りの一笑をする。何も分かっていないとばかりに首を左右にゆっくりと振ると、震える自分の手を見下ろした。
「稽古と言うが、あれは稽古ではないとハッキリとぼくは言うね。あれはただの拷問、いや処刑だね」
「ちょっと歳はいってたけど……流石にあれでは耐え切れないよ」
「「っ」」
マリコルヌが発した言葉を聞いた瞬間、レイナールたちの身体に今までにない戦慄が走った。
「馬鹿なっ!? マリコルヌが女からの責めを耐え切れないだとっ!?」
「ありえんっ! ありえんぞぉっ!?」
驚愕の声を上げるレイナールとギムリ。二人は当時を回想しているのか、ますます顔色を悪くし、身体を小動物のように震わせるギーシュたちに向かって身を乗り出す。
「一体どんな稽古だったんだい? マリコルヌが耐え切れないなんて……そんな馬鹿な話信じられないよ」
「もしかして、そのルイズの母親が色々とアレだったのか?」」
恐ろしいことをレイナールが口にする。
身を乗り出す二人に死んだ目を向けたギーシュとマリコルヌは、引きつった口元を動かし掠れた声でその問いに応じる。
「いや、確かに年齢によ
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