SAO編
第一章 冒険者生活
4.違和感の正体
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ギャッ! グルウ!
ギエー! ガー! キー! グルワァ!
以前森林の中で聞いた蝉の鳴き声の合唱よりも、数段耳障りな奇声が散弾のように俺の数メートル前から浴びせかかってくる。
統一性の欠片も無く集団で此方に向かってくる魔物の群れは、まるで暗い濃混色の津波。少しでも気を抜けば、意識もろとも命まで呑みつくされてしまうだろう。
――集中しろ……! 師匠との稽古を思い出せっ!
俺は敵に向かって走りながら、全意識を敵の動きのみに集中させる。
多勢を相手にする場合、一匹一匹を一撃で確実に倒すことが重要となる。しかし、この《SAO》の世界ではそれは叶わない。いくら急所に当てようとHPが無くならない限り、敵は攻撃の手を止めないのだ。
故に、まず狙うは敵の足だ。敵は隊列も何も無く固まって向かって来ている。通常の戦ならば、前列にいる者たちの足を止めれば、後続の者たちによる勢いで押され踏み潰され、前列を圧殺することが出来る。このSAOでどうなるかは解らないが、今はそれをやるしかない。
俺は押し合うようにして石橋を入ろうとするモンスターたちの先頭にいる一匹のゴブリンに、槍の射程目一杯の刺突を放った。
「ハァ――ッ!!」「グェアッ」
此方に向かってくる敵の勢い、そして敵に向かって走る俺の勢いで、相対速度により威力の増した槍の刺突がゴブリンの腹部に突き刺さる。更にそれがつっかえ棒の役割をなして先頭のゴブリンの勢いを相殺し、その場で急停止。なお向かってくるモンスターの前列にそこだけ凹みが出来た。だが後続のモンスターたちにより、そのゴブリンごと槍も押されてくる。
俺は槍を引くと同時に一歩踏み込みながら体を捻り、槍の中腹にわき腹を当てて、そのまま速度を上げ槍諸共一回転。周りのモンスターたちの下段に向けて思い切り横に槍を薙ぐ。
東雲流《弓風》。
半径2メートル程の円を描いて、周囲のモンスターを巻き込みながら薙ぎ払った。
足に攻撃を受けて前列にいた亜人型モンスターたちが転倒し、前列の勢いが一瞬だけ膠着する。
――どうなる……?
普通ならば、後続に踏み潰されて転倒した前列の者は息絶える。……現実の戦ならば。
しかし、やはりと言うべきか、そうはならなかった。
転倒したモンスターたちは、《重い障害物》というように後続のモンスターたちに地面をズルように押されている。
――モンスターの同士討ちは無理……か。
前列の膠着により全体の動きが緩やかになったが、それも数秒のことだろう。しかも、レベルが上がり威力も上がった俺の攻撃でも、薙ぎ払った敵には二割ほどしかダメージを与えられていない。
だが一応《最初の目的》は達した。直ぐ
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