SAO編
第一章 冒険者生活
4.違和感の正体
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せん。私たちは駆け出しました。
「お、おいっ! お前ら何処行くんだよっ!?」
走り出してすぐ、後ろからリックさんの声が聞こえました。じれったい気持ちを押し込めて、足を止めてリックさんに言いました。
「あ、えと……ま、まだ戦いは終わってないみたいですっ。私たちは森側の門で戦ってるらしいキリュウさんの所へ行きます。リックさんたちは……出来ればクラウドさんたちの所へ応援に向かって下さい。お願いします!」
「お願いしますっ」
「しますッス!」
「え、あっ、おい!?」
私たちは頭を下げながら早口でそう告げると、踵を返して再び駆け出しました。リックさんの声を無視するような形になってしまったことに心の中ですみませんと唱え、疲れた体に鞭打って足を動かしました。
横目でキリュウさんのHPを見ると、今は二割と少し……随分減っていました。二人も同じように確認しているのか、厳しい顔つきのまま黙ったまま走っています。
「二人ともっ、今のうちにポーションを……!」
皮肉なことですが、二人の切迫した顔を見ていると、反対に私は落ち着くことが出来ました。
今の私達のHPは約七割。キリュウさんが何匹の敵と戦っているのかは解りませんが、キリュウさんのHPを回復させる時間を、私達で稼がなくてはいけません。
――焦らずに、自分に出来ることをひとつひとつ確実に……っ。
私の言葉を聞いて、ネリーたちは思い出したように回復ポーションをポーチから出し、三人で走りながら呷ります。美味しくはありませんが、自分の命の為に一気に飲み干しました。
Y字路の大通りを森側の道に曲がると、正面に小さく門が見えてきます。
「はあっ、はあっ、もうっ、ちょっ、と……っ」
ネリーが走りながら呟きました。……きっと無意識に。
三人がずっと見ているキリュウさんのHP。もうすぐ二割を切ります。
――待って、待ってっ、待って……!!
次第に減っていくキリュウさんのHPバーに、届くわけもない願いを心の中で叫びます。
「あっ、いたっ!」
ネリーの声に前を見ると、確かにキリュウさんは居ました。先ほどは私たちも戦っていたのであまり意識できませんでしたが、数十匹ものモンスターたちに、単身で渡り合っているよう見えるその姿は、思わず息を呑むほどの光景でした。
最初の情報とは違うこの場所で、何故キリュウさんが戦っているのかは今は置いておいて、剣を抜いてキリュウさんのもとへ三人とも急ぎました。
「キリュウさんっ!!」
キリュウさんとの距離が20メートルほどにまで来たとき、私はつい大きな声でキリュウさんに呼びかけていました。
「……っ」
私の声に反応して視線を此方に向けるキリュウさん。一瞬
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