再戦
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を指差した響は続ける。
「セシリア。お前のその色合いとかそういう妙なこだわりがダメなんだよ」
「ダメ……とは?」
「なんつーかなぁ……。せっかく一回完璧に完成したのにそれに余計なことをしちまったんだよお前は。いわば蛇足だな」
響の意見にセシリアは自らが料理をしている時に行ったことを思い出したのかハッとする。それにより、少々顔を俯かせるものの、響は肩を竦ませる。
「まっ別に食えねぇわけじゃないからいいんじゃねぇの? 次は気をつけてみろよ」
「そうだね。それにさっきの話だと最初よりはかなり成長してるんでしょ?」
「あぁ。最初はもういろんな意味で凄かったからな。それに比べりゃ平気なほうだろうさ」
「ならばいいではないか。そう気を落とすことでもないぞセシリア」
ラウラとシャルロットは言いながらサンドイッチに手を伸ばし、それぞれ頬張った。
「ふむ……確かに美味いとまでは言えんが、まずくもないな」
「これぐらいなら全然平気だよ。自信持っていいと思うよ」
二人が言うと、響もまた小さく笑う。三人を見たセシリアも嬉しそうに笑みをこぼした。
放課後になり、響はさっさと帰り支度をし鞄を肩に担ぐと教室を出ようとした。しかし、
「響」
後ろから呼び止める声に響は気だるそうに振り向いた。
「なんか用か? 一夏」
呼び止めてきた一夏に訝しげな視線を向けるが、一夏はそれに臆さず響に告げる。
「響、もう一度俺と勝負してくれ」
「ハァ? 二日前にぶっ飛ばされたってのに随分とはえー再戦の申し込みじゃねぇか。大体、お前は楯無との訓練があるんじゃねぇの?」
「いや、楯無先輩が今日は別の用事があるらしくてさ。今日はないんだ」
「ふーん。まっテメェがいいならかまわねーが。売られた喧嘩は買うのが主義だしな」
大きくあくびをしながら響は踵を返す。一夏はその様子に少々苛立ったのか唇をかんだ。しかし、響は一夏に背を向けたまま問う。
「オラ、再戦すんだろ? 何処でやるのか案内しろや」
「……ああ。こっちだ」
低い声音のまま言った一夏はそのまま響の前に出て、響もそれに続いて歩き出した。
その二人のやり取りを見ていたクラスメイトも少々心配そうな面持ちで、二人の後姿を見送った。
「ね、ねぇ織斑君と鳴雨さんって何かあったの?」
「さぁ? でもさっき鳴雨さんが織斑君をぶっ飛ばしたって……」
「喧嘩? でも、再戦って言ってたから決闘とかそういうことなのかな?」
口々に疑問を口にする中、箒とセシリア、シャルロットとラウラは互いに頷き合うと二人の後を追った。途中、鈴も合流し、五人は二人のあとをつける。
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