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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 07 「思いあうが故に」
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えのに」

 スルーしたならば、何で返事を返さないんだと膨れるはずだ。即座に返事を返そうと思ったが、シャマルがはやてを車椅子からベッドの上に移しているところだったので、それが終わるのを待ってから返すことにした。

「お前、返事を返さなかったら膨れるだろ」
「それくらいで膨れたりせんよ。わたし、ショウくんよりもお姉さんやで」
「そうか……じゃあこれはお前にじゃなくてヴィータにやろう」

 持ってきていた手作りのお菓子をはやてにではなくシャマルに差し出す。するとはやては、ころりと表情を変えて制止の声をかけてきた。

「ちょっと待って。ヴィータにあげるんはええけど、少なからずわたしにも食べる権利はあると思うんよ」
「お前はお姉さんなんだろ。普通は譲るんじゃないのか?」
「お姉さんでもまだまだ子供やもん。それに誕生日はわたしのほうが早いけど、ショウくんのほうがしっかりしてる。やからお兄ちゃん、わたしにちょうだい」

 普段よりも甘ったれた声で言ってくる彼女に呆れたものの、これまでと変わらない様子に安心する。
 はやてにお菓子を渡そうとすると、笑い声が聞こえた。声の主はシャマル。俺とはやてを見ながら穏やかな笑みを浮かべている。

「どうかしたん?」
「いえ、何でもありません。ただはやてちゃんとショウくんは本当に仲が良いんだなぁと思って」
「友達だから当然や。なぁショウくん?」
「ああ……お前は俺にとって大切な奴だよ」

 そうでないならこんな苦しさを今感じていない。いや、はやてと知り合えたからこそ今の俺がいるんだ。彼女と知り合えなかったことなど考えられない。
 どんなに苦しくても……俺ははやてを助ける手段を探すのをやめない。時間がある限り、可能性がある限りは諦めるものか。もう誰かを失うのはごめんだ。

「ちょっ、真顔でそう言うこと言わんでよ。恥ずかしいやん……」
「ふふ。はやてちゃんが退院したら別の意味でもお祝いします?」
「だからわたしらはそういうんやないって! もう……ショウくんのせいで、またシャマルのスイッチが入ってもうたやん」

 わざとらしく唇を尖らせるはやてに、俺やシャマルは笑うばかりだ。少しの間、彼女の機嫌が悪い感じだったが、何事もなかったようにいつもの表情に戻り話し始める。
 先ほどまで病室にいなかったのは、最近親しくなった友達に電話をしていたらしい。

「へえ……」
「あれ? もしかしてショウくん、やきもち焼いてる?」
「別にやきもちなんか焼いてないよ。友達ができるのは良いことなんだから……はやて、その顔は何だよ?」
「ショウくんからそういう言葉が出るとは意外や思っただけや」
「一般的な意味で言っただけだろ。……確かに俺は、お前と違って人付き合い苦手だけど」

 正確に言えば
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