第五幕その六
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恵梨香はパーティーの時にお握りを作って皆に食べてもらうことにしました、けれどいざ作る時にです。
キッチンでお米を見てです、恵梨香は最初驚いて言いました。
「あれっ、お米もなの」
「お米の色ね」
「ええ、緑なんですね」
キッチンの中で稗を食べているビーナに答えました。
「エメラルドの国だから」
「そうよ、他のものと同じよ」
「じゃあマンチキンだと」
「パンは青かったわよね」
「真っ青でした」
恵梨香はマンチキンでのことを思い出しました、そのパンは確かにです。
「他の食べものもね」
「それならお米もよ」
「エメラルドの都では緑なんですね」
「国によって色は変わるわよ」
黄色だったり赤だったり紫だったりするというのです。
「何たってここはオズの国だからね」
「それでですか」
「ええ、そうよ」
まさにそうだとです、ビーナは言います。
「だからあんたがお握りを作ってもね」
「緑になるのね」
「そうよ、緑のお握りよ」
まさにそれになるというのです。
「作るのならね」
「そうですか」
「そうよ。けれど味はね」
「変わらなかったですね」
恵梨香はパンのことから言います。
「全く」
「そうでしょ、だからね」
「緑のお握りでもですね」
「気にすることないわよ」
ビーナはお皿の中の稗を食べつつ恵梨香にお話します、勿論その稗も綺麗な緑色です。
「全くね」
「わかりました、それじゃあ」
恵梨香も納得しました、そうしてです。
まずはお米を研ぎます、それからです。
お米を炊きます、ビーナはそれを見て言いました。
「ふうん、ご飯の作り方はね」
「変わらないですよね、オズの国と」
「ええ、一緒よ」
そこはだというのです。
「作り方はね」
「じゃあお味は」
「それはもう知ってるでしょ」
ビーナは美味しさについてはです、あっさりとこう答えました。
「あんたも」
「つまり他の食べものとですね」
「そうよ、同じだけね」
美味しいというのです。
「そういうことよ」
「そうなんですね、じゃあ」
「ちゃんと作ればね」
それでだというのです。
「美味しい御飯になるわよ」
「美味しいお握りにですね」
「ええ、なるわ」
「それじゃあ後は」
どうするかとです、恵梨香は研いだお米をジャーの中に入れてそのうえで言うでした。
「炊くだけですね」
「そうなるわね、それでだけれど」
「それで?」
「お握りってそれだけじゃないわよね」
お米を炊いて終わりではないだろうというのです。
「そうよね」
「はい、お米を炊いて」
そしてだとです、恵梨香は何時の間にかキッチンの上に飛び上がってきて乗っているビーナに答えました。
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