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緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
16弾 雨に濡れた殺意
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だった。あの子は確か……救護科(アンビュラス)所属の1年の宗宮つぐみ、だったかな。武偵校の中でも珍しい獣医志望の子だったはずだ。

「や、ややや薬師丸(やくしまる)先輩!助けてくださいっ!」

 涙ぐんでいる。こう見ると中等部に見えるな、この子。

「どうした、何があった」

「い、いい、いつの間にか私の携帯がすり替わってたんですっ!そ、それが喋りだして!」

「 速度を落とすと 爆発しやがります 」

 そういうことか。

 アリアが言った通り、これは同一犯の仕業だろう。

 俺の、チャリジャックの犯人と――――!

『ミズキ、どう!?状況を説明して!』

 アリアの声だ。

「おまえの言った通りだったよ、このバスは遠隔操作されてる。そっちはどうだ?」

『――――爆弾らしきものがあるわ!』

 その声にバスの後方を背伸びして見ると、窓の外にワイヤーとアリアの足が見えた。

 どうやら逆さ吊りになって、車体の下をのぞきこんでいるようだ。

『カジンスキーβ型のプラスチック爆弾をベースにしたオリジナル、「武偵殺し」がよく使うものよ。見えるだけでも――――炸薬(さくやく)の容積は、3,500立方センチはあるわ!』

 そのアリアの言葉に一瞬、気が遠くなる。

 なんじゃそりゃ。どう考えても過剰すぎる炸薬量だ。

 ドカンといけば、バスどころか電車でも吹っ飛ぶ量じゃないかよ。

『潜り込んで解体を試み――――あっ!』

 アリアの叫びと同時に、ドン!という振動がバスを襲った。

 生徒たちがもつれ合うようにして転び、悲鳴が連なる。

 慌てて後ろの窓を見ると――――

 そこに追突した1台のオープンカーが、グンッ、と退がってバスから距離を取っているところだった。

「大丈夫かアリア!」

 ――――応答が無い。

 今の追突で、やられたらしい。

 俺はバスの屋根伝いに後部に回り込むため、慌てて窓から上半身を乗り出した。

 ウォン!というアクセル音に振り向けば、後ろにいたはずの車――――真っ赤なルノー・スポール・スパイダーだ――――が、横に回り込んできていた。

 その無人の座席からUZIを載せた銃座が、こっちに狙いを――――!

「――――みんな伏せろッ!」

 車内に叫び、生徒たちが頭を低くした直後――――バリバリバリバリッ!!

 無数の銃弾が、バスの窓を後ろから前まで一気に粉々にした。

「うおッ!」

 俺も一発胸の辺りにもらい、車内に押し戻される。

 防弾ベストのおかげで怪我は無いが……この、跳び膝蹴りを喰らったような衝撃。あまり好きじゃないんだよな、これ。好きな奴がいたとしたらそいつはそいつでヤバそうだが。
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