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Eden -? qui chose est paradis? -
2.【La fille qui a fait le ventre vide】?side;A

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 アルは意外に路地が好きだ。朝の活気に溢れる時間であっても、そこだけは静かで、どこか淋しいような感傷に浸ることができる。因みに今はサラに押し付けられた仕事(といっても郵便局に物を持っていくだけなのだが)を終えた帰りである。

「あれ……?」

 いつもの場所に足を踏み入れるとそこには、何か――黒い、塊があった。恐る恐る近寄ってみるとそれは小さく震えている。なんだ、人か……と息をついた時。

「……おなかすいた」

 少女らしい声と共にぱたり、とそれは地面に倒れ伏せた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「はい失礼!あったかいうちに食べてね〜!」

 アルは先程の路地から少し歩いた所にあったパン屋に来ていた。女将さんが二人の間にトレーを置くと、先程の黒い塊……もとい真っ黒なフード付きの外套に身を包んだ少女が手を叩いた。

「これが『ポットパイ』なのね!?」

 辺りに漂うシチューの香りに、フードの下の顔も自然と綻んだ。白く小さな両手を胸の前で組み、喜びの声を上げた少女を見て女将さんは快活な笑い声を上げる。

「こんなに喜んでくれるなんて嬉しいねぇ〜。さ、ゆっくりしてっておくれ」

 そういって笑顔で店の奥へ引っ込んでいった。

「……ふぅ。ところで、さ」

 アルがスプーンの先でパイを崩し、シチューを掬う。
 「なに?」

 先程からパイにかぶりついている少女の動きが止まる。食事に誘っておいてなんだが、彼女の素性をアルは知らない。

「いや、まだお互い名前も知らなかったね。僕は……」
「私はエル。エルよ」

 遮られ、むっとしたが凛とした声は有無を言わせない威厳に満ちていて、反論する術を無くしてしまった。エルは訝しげに首を傾げている。

「ねぇ、次は私から質問してもいい?」

 エルがテーブルに身を乗り出してにこっと笑ってアルの顔を覗き見る。フード下の瞳と目があった気がした。

「あ……うん」

 何だか居心地が悪くなり、シチューを口元まで運ぶ。もしかしたら自分はとても厄介なものを拾ってきてしまったのではないだろうか。
 そして、唇を歪ませてエルは告げた。

「貴女、アル・エドウィンね」

 ぼと。スプーンがアルの手から滑り落ちて音を立てた。

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