第十六話 聖剣ですか禁手ですか
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エルめ。あれだけ私を断罪しておいて、その結果がこれか。まあ、あの天使のことだ。被験者から因子を抜き出すにしても殺すまではしていないか。その分だけは私よりも人道的と言えるな。くくくくくく」
「ーー同士達を殺して、聖剣の因子を抜いたのか?」
「そうだ。この球体はそのときのものだぞ?三つほどフリードに使ったがね。これは最後の一つだ」
「ヒャハハハハ!俺以外の奴らは途中で因子に体がついていけなくなって、死んじまったけどな!うーん、そう考えると俺様はスペシャルだねぇ。因みに、こういうやつに限ってしぶといとか思ったっしょ、イッセー君?ノンノン。俺はそんなくらいじゃ死なないぜ」
性格破綻者じゃなければ、普通に有能だと思うのよねぇ。皆そう思うでしょ?
「・・・バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望のために、どれだけの命を弄んだんだ・・・・・・」
「ふん。それだけ言うならば、この因子の結晶は貴様にくれてやる。環境が整えばあとで量産できる段階まで研究はきている。まずはこの町をコカビエルと共に破壊しよう。あとは世界の各地で保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。さらには、今のところフリード以外持つことすら敵わなかった緋想の剣使いも創ろうか。そして、聖剣使いを量産し、統合されたエクスカリバーと緋想の剣を用いて、ミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けてくれる。私を断罪した愚かな天使どもと信者どもに私の研究を見せつけてやるのだよ」
そう言った後、バルパーは興味を無くしたように持っていた因子の結晶を放り投げた。
木場は静かに屈みこんで、それをとった。
哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、その結晶を撫でていた。
「・・・皆・・・」
そのとき、木場の持つ結晶が淡い光を発し始める。光は徐々に広がっていき、校庭を包み込む。
校庭の地面、その各所から光がポツポツち浮いてきて、形をなしていく。そして、人の形になっていく。
「この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのですね」
さらに、外からも人魂が集まってくる。すでに死んでしまった、聖剣計画の被験者の死霊。
「皆!僕は・・・僕は!・・・ずっと・・・ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいのかって・・・。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていいのかって・・・」
霊魂の少年の一人が微笑みながら、木場に何かを訴える。口を動かしてはいるが、声はしない。
「・・・『自分達のことはもういい。君だけでも生きてくれ』。彼らはそう言ったのです」
それが伝わったのか、木場は涙を溢れさせた。
魂の少年少女達は、一斉に口を動かす。全く同じ動きを、全員が。
「ーー聖歌」
アーシアが呟いた。
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