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無題(思いつかない)
無題
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た赤いスポーツカーに(彼らは赤い車にしか乗らないわけじゃないけど)。狭いシートにかがみこむ女の太ももは物分りの悪い中学生でもでもぴくっとする確かな色気だ。全員口角が上がっていた。何か不自然に。
「ちょっとすっ飛ばしてくるわ。200`でよ」亮太が言う。誰かがほとんどお構いなしの相槌をうつ。カワサキのエンジンがニュートラルでフルに回る。
「おい。ナンボ走ってきたん?」
「そういうなや。今行くわアホ。なんで関西弁やねん」
 亮太がクラッチレバーを握ってローに繋ぐとヨシムラのマフラーが「フォンッ」と小気味のいい音を立てて後輪がグリップ、それと同時にフロントフォークが少し浮いてあっという間に闇に背中が消える。暗闇の中にシフトアップの音が響く。遠くで亮太の奇声が上がる。
 元山は赤い車の「アキラ」を思い出していた。初めて見た。「アキラ」は学校になんて行っていない。友達にそんなやつはいない。当たり前だ。彼らは学校になんていられない人種なんだ。「一般人」と一緒に受験勉強なんかしていると頭が痛くなって発症しちまう。話によると地震とつながりがあるらしかった。地震と一緒に発症しちまう。言い換えれば発症して地震が起こっちまう。どっちが卵なんだか。奴だって地球に乗ってるのに。
「何であいつらが女に恵まれてるか知ってっか?」いいやと元山が答えた。
「テレビが持ち上げたんだよ。巨チンをよ。モテナイ巨チン君達は鬱憤だらけ。百年前それが爆発しちまった。阪神大震災だよ。あの地震ってよ、小出しにしてたらそれほど大きいカタマリにはならなかったんだってさ。あいつが毎日いい女抱くと、関東地方がM4ほどの不幸から救われるんだって。なぁ・・・馬鹿だろ?」
「よく分からないけど、エネルギーが逃げるってことなんじゃ・・・」
「逃げ場は大事だな」奈良が答えた。「それにしてもたまるもんかね。そんなもん」
「お前にはわかんねー」山荻が言う。問題は溜まるかどうかなのか? 俺達だって溜まるだろ。それとも「アキラ」が全部引き受けるのか? 地球に溜まった鬱憤を。馬鹿げてる。
「巨チン放出伝!!」誰かが言う。あまり笑えなかった。
 昔の事はわからない。地震なんて起こっちゃいないし、この何年か。少なくともここ何年かは。確かにそうなのかもしれない。何か関係があるのかも知れない。でもわかっちゃいけないんだ。命だって懸かってたんだろ? でも馬鹿な話だってことだけはわかる。誰だってわかる。話をでかくするのは馬鹿な男達の癖だし。人間が地球に生まれて、地球はその前に生まれてる。人間がある意味地球とリンクしてるってのは学校で習った。学校でならった。ナマズみたいならかわいい。暴れだしたら地震があんのねって具合に。ねずみが船を下りたら、燕が低く飛んだら、みたいな感じで。奴らとても傲慢な存在として生きてるけど、(俺達が「ア
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