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路地裏の魔法少年
第1部その3:友達思いなのはお互い様じゃね?
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 「どうだウィル、俺が夜も寝ないで昼寝して編み出したカッコいい避け方その1『ジグザグノコギリ』は!?」
 ≪お前さんネーミングセンス無ぇなぁ≫

 そうして俺は標的を破壊して行く。
 魔弾を弾き返し、躱し、肉薄し、突いて壊す、繰り返し何度も何度も…………。

 俺は段々自分が強くなっている様な気がした。
 仮想世界の中のトレーニングがリアルの世界でどれくらい通用するか分からんが、それでも俺の頭と身体には確かに『戦い方』が染み付き始めている。

 まるでスポンジが水を吸うかのように身体の中に入り込んで行く感覚(フィーリング)は、俺に興奮と喜びを与え、同時に少し不安にもさせた。

 いよいよ、俺達は人の範疇を越えつつある。
 魔法が使えるって時点で『この世界』では充分異質なんだが、問題は俺達がそれを使いこなしつつあるという事だ。
 魔法の力は絶大だ、俺達みたいなガキにアホみたいな破壊力を付与するんだから正直引くくらいスゲーと思う。

 だからこそ不安に思う。
 大人のように『自分の気持ちを我慢する事』が苦手な俺達が、本当にこんな力を持って良いのかと。
 段々魔法を使った『壊し方』ってのが分かって来て、その思いが強くなっているのだ。

 啓太や高町さんはどう思っているのだろうか。
 後で二人に聞いてみるか、多分俺がそんな事を言ったらまた「意外だな(なの)」と言ってくるに違いないが……。

 全ての標的を破壊した俺は、静かになった仮想空間のフィールド上でそんな事を考えながらトレーニングモードを終了させた。


 ◆◇◆


 それから暫く時間が経った頃である。
 授業を終えた俺と啓太は、いつも通り訓練を行う為にいつも通り人の来ない神社に向かっていた。

 俺達の家から神社までは「近くも無く遠くも無く」といった微妙な距離で、例の高級住宅街を突っ切るのが最短ルートである。
 そんな訳で、俺達は現在その高級住宅街の中をチャリで進んでいる訳なのだが、本当に高そうな家ばっかりだ……。
 ここに住んでいる人間達は一体なにをやってこんな高い家を建てられるだけ儲けたんだろうか。
 ここを通る度にそんなどうでも良い疑問が頭を過る俺は、多分一生こういった家とは無縁の生活を送るんだろうな。

 だが、悲しくなんかないもん……。
 ビバ小市民!テーブルマナーを気にしながら高級料理をチマチマ食べるよりも、ネコまんまを豪快にかっ喰らう生活の方が俺には性に合っている。
 だが、たまにはステーキとか食ってみたい。
 めちゃんこサシの入りまくった等級A5の極上霜降りとかってどんな味がすんだろう……。

 「畜生、ブルジョアどもめ」
 「何か言ったか槍一?」
 「い、いや別に、何でも無いし、別に僻んでなんかいねー
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