オリジナル/未来パラレル編
第4分節 ザックと!
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紘汰が咲を連れてきた場所は――
「ここってチーム鎧武のガレージだよね」
「そ。中の見てくれ整えてそのまま使ってんだ。バロンのサロン使おうかって話もあったんだけど、あそこは結局若いビートライダーズのチームに譲ることにしたんだ」
9年経ってもビートライダーズという枠組みは廃れていない。咲はそのことが嬉しくてつい微笑んだ。
「さ、ここが俺たちの“城”。俺たち“ガイム”の活動拠点だ」
紘汰がガレージのドアを開けた。
ガレージの内装は、咲が記憶するチーム鎧武のガレージからそうかけ離れていなかった。
看板やポップコーン製造機など雑貨はなくなり、ソファーとテーブルが中心に置かれた、シンプルなオフィスらしい内装になっているが、それでもやはりチーム鎧武のガレージだ。
そして、中にいたのは一組の男女。ワインレッドのカッターシャツの男と、明るいグレイのスーツを着た女性。
「紘汰!」
男のほうが階段を上がって来て紘汰の前に来た。咲は男の剣幕が怖くてつい紘汰の後ろに隠れた。
「本当なのか? 咲が……記憶喪失、っての」
「本当だ。正確には、12歳まで戻ってる。退行、ってのかな」
紘汰がふり向き、咲の肩を抱いて歩き出す。その後ろから男は付いて来た。階段を降りた咲は、紘汰にソファーに座るよう促され、座った。
スーツの女が咲の顔を覗き込んだ。
「咲ちゃん。私が分かる?」
「はじめまして……?」
女性は残念そうに苦笑した。きっと彼女も覚えておかねばいけない人だったのだろうに。
「俺は?」
「……ザック、くん?」
紘汰と同じく歳を重ねた男の顔に笑みが広がる――
「チームバロンのリーダーの」
ザックは笑みを浮かべかけたまま固まった。そして、片手で軽く頭を掻いて、咲の正面側のソファーに座り込んだ。
「バロンが解散して何年経ってると思ってんだよ――」
「ご、ごめんなさい」
「ザック。だから言っただろ、記憶がないって。責めるなよ」
「ワリ……」
女性は綺麗な笑顔で咲の背に手を添えた。女の咲がどぎまぎするほど美人だ。
「改めまして。私は葛葉晶。紘汰の姉よ。弟がいつもお世話になってます」
「こちら、こそ、お世話になって……ます?」
「いいえ。――ここでは事務方をしてるの。咲ちゃんは『晶さん』って呼んでくれてたわ。またよろしくね」
「俺はザック。知っての通り元チームバロンのリーダーで、この会社のアーマードライダーの一人」
「会社」と「アーマードライダー」。馴染まない二つの単語にはてな、と首を傾げる。
「それも忘れてんのか……ここの社員はアーマードライダーで構成されてて、インベス退治やらヘルヘイムの植物駆除やらやるのが職務なんだよ。
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