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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 04 「強くなりたい」
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れに俺は事件を早期解決することもできるのに、それをする意思はない。これによって多くの人が傷つくことになるだろう。高町やテスタロッサもまた怪我をするかもしれない。
 俺は……自分勝手で嘘吐きの臆病者だ。そんな俺に……この子と仲良くなる資格があるのだろうか。

「……まあそれは置いておくとして」
「いやいや置かないでよ!?」
「いや置く。この話よりももっとする話があるんだから」

 間違ってること言ってるか? と視線で問いかけると、高町はしょんぼりしながらも頷いた。その様子を見たテスタロッサが何か呟いた気がするが、気にしないでおくことにする。
 ……変わろうと決めたのに、肝心なときに向かい合うことができない。俺はいつまで今みたいに逃げるのだろう。最悪の未来が訪れてしまった場合、俺は現実からすら逃げてしまうのだろうか。
 そんなことを考えている間にも高町はベッドに座り直し、少し考え込んだあと口を開いた。

「何となく……なんだけど、あの子達とはまた会う気がするの」
「うん」
「まあ立場上……俺達と彼女達は敵同士だからね」
「そうだね。でも何も分からないまま戦うのは嫌だ。昨日は話も聞けなかったけど……」
「次はきっと……」
「うん」

 高町が元気に返事をすると、テスタロッサは立ち上がった。
 彼女達の性格や会話の流れを知っているからこそ何を言いたいのか理解できたが、ふたりをあまり知らない人間には言葉足らずの会話でもおかしくなかった気がする。というか……なぜテスタロッサは立ち上がったんだろう。

「今から?」
「うん! 一緒に練習!」

 高町は握りこぶしを作りながら立ち上がり、力強く宣言した。
 話ができないほど弱いのならば、話ができるほどに強くなればいいという考えなのだろうか。理解できなくはないが……何とも言えない気分だ。

「練習って……何をする気? 君達って確かまだ魔法使えないはずだよね?」
「近接戦闘の練習。これなら魔法が使えなくてもできる」

 高町とテスタロッサは、外に出て自分のデバイスと同じくらいの棒を手に取った。互いに構えると、すぐさま戦い始める。
 一度決めるととことん突き進もうとする彼女達には感心する。こういうやらずに後悔よりやって後悔のようなところが、彼女達の強さに関係しているのかもしれない。このペースに常人はついていけないと思ったりもするが。

「やあ!」
「はあ!」

 ふたりの訓練を見ていると高町は防御を、テスタロッサは回避を主体にしているのが分かる。魔法を使っていなくても、彼女達の性格が戦い方に現れていると言えるだろう。
 それにしても少し意外だ。
 高町は学校の体育を苦手にしているとか言っていた気がするが、訓練を見る限り運動が苦手のように見えない。宙返りを簡
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