暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
1.林檎と少女
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「あ、ありがとうっ」

 無言で林檎を差し出すキリュウさんに、女の子が極上の笑顔でお礼を言う。
 視界にクエスト達成のメッセージと加算経験値が現れる。簡単なクエストだったから、かなーり経験値は少なめだ。

「あ、そーッス。……ねえねえ、そこなお嬢ちゃん。わたしらこの近くに村があるって聞いて来たんスけど、場所どこか知ってるッスか?」

 チマが、なんだかよく分からないキャラで女の子に質問した。

「えーと、わたしの村だと思うよ? ここからすぐの村だから」

 あたしが十歳の頃ってこんなにちゃんと答えられたっけ、と思うほどしっかりと答える女の子。

「……よかったら、案内して貰えないかな?」

 屈んだレイアが、女の子に視線を合わせながら訊いた。
 女の子は少し考えるような顔をしてそれに答えた。

「うんっ、いいよ。……でも、この辺りはモンスターがたくさん出るから危ないよ?」

 その言葉に、あたしたちは首を傾げた。
 ここまで結構な距離を歩いてきたけど、この森にはモンスターの気配さえ無かったのだ。
 あたしたちが不思議に思っていると、女の子の頭の上に、再びハテナマークが現れた。
 視界にも再びクエストタグのタスクが更新される。

【クエスト:少女の護衛】

「えーと、『案内をしてくれる少女を無事に村まで送り届ける。モンスターの攻撃を受けて、少女のHPがゼロになるとクエスト失敗。』だって」
「こ、これは……護衛クエ!? うーん。だとしたら、このクエを受けた瞬間モンスターに襲われるかもしれないッスね」
「……なるほどな。今まで敵が現れなかったのはこの為か」
「え? どういうことですか?」
「このクエストを受けるまで、この森にどんなモンスターが出てくるか解らないから、対策が出来ないようになっている……とかですか?」
「……ああ。もしそうなのだとしたら、このクエストを受けても受けなくても今後は敵が現れるだろうな」

 クエストを受けても受けなくても、もう出てこない意味はないのだから、絶対にモンスターは出てくる。

 ――だったらっ。

「キリュウさん、受けませんか? どうせ村に行くなら案内してもらった方がいいと思いますし」

 あたしは両手をグッと握り締めて提案した。キリュウさんは少しだけ考える素振(そぶ)りをした後、あたしに頷く。
 それを見て、あたしは女の子に向かって言った。

「――それじゃあ、村までの案内をお願いしてもいいかな?」

 女の子はうんっ、と笑顔で頷いてトコトコと歩き出した。
 視界の端に、クエスト受注の表示が現れる。

 ――いよーし。いっちょやってやりますかっ!

 そうして、あたしたち四人は、村まで案内してくれる女の子の護衛をすることになった
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