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八条学園怪異譚
第六十話 時計塔その十四
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だとだ、お互いに約束をしたのだ。
「じゃあね」
「うん、二人でね」
「何時までもね」
 こう二人で話してだった、そのうえで。
 二人が学園の中に戻るのだった、その正門のところに行くと。
 茉莉也が待っていた、茉莉也は二人の姿を認めると微笑んで言った。
「おかえり」
「あれっ、先輩」
「待っておられたんですか?」
「今来たところよ」
 こう二人に言葉を返す。
「駅前にあんた達の気配があるって言われてね」
「それって誰が言ったんですか?」
「妖怪さんの誰かですか?」
「ええ、そうよ」
「じゃあ一体その妖怪さんって」
「誰ですか?」
「九尾の狐さんよ」
 その妖怪に言われたというのだ。
「あの人が気配を感じてね」
「それで、ですか」
「私達を迎えに来てくれたんですか」
「そうなのよ」
 それでだというのだ。
「それで今私がここに来たらね」
「丁度私達が帰ろうとしていた」
「そういうことですね」
「そうなのよ、いいタイミングだったわね」
 茉莉也が迎えに来たその時はというのだ。
「それじゃあ早速ね」
「はい、今からですね」
「博士の研究室で」
「ええ、すき焼きよ」
 それを食べようというのだ。
「勿論お酒もあるからね」
「何かもう、ですね」
「用意されてるんですね」
「そうよ、もうね」
 それは既にだというのだ。
「今博士の研究室でぐつぐつと煮てるからね」
「じゃあ博士の研究室に入ればですね」
「すぐに食べられるんですね」
「ええ、もう中に入ったらね」
「用意がいいですね、そこまで整ってるなんて」
「私達が研究室に入ったらもう食べられるって」
「皆食べることと飲むことにはせっかちなのよ」
 茉莉也もだ、楽しげな笑顔で二人に応える。
「それにすき焼きはじっくりと煮た方が美味しいでしょ」
「お葱も辛くなくなりますし」
「お肉は柔らかくなって」
「そうよ、だからね」
 すき焼きを早いうちに煮だしたというのだ、二人が博士の研究室に入ればもうそれで早速食べられる様にだ。
「もう煮えてるわよ」
「わかりました、じゃあ今から」
「博士の研究室に」 
 戻ろうと話してだ、そしてだった。
 二人は茉莉也と共に博士の研究室に戻った、そしてそこで泉を見付けたことを話すのだった。二人の泉を探す為の長い冒険はようやく終わったのである。


第六十話   完


                     2013・12・12
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