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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第14話:ひとりの少女
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秒の間を置いて再びその目が開かれたとき、ゲオルグの表情は一変していた。

「じゃあ、行こうか」

低く押し殺した声で言うゲオルグに向かってフェイトが無言で頷く。
そして、ゲオルグはエメロードが立てこもっているはずの部屋のドアに手を掛けた。
ノブを回してゆっくりと引くと、甲高い軋み音をあげながらも
ドアは抵抗なく動いた。

ドアを開け放つと通路と同じく薄暗い部屋が現れる。
部屋は10m四方ほどの大きさでドアのちょうど反対側に大きな机が置かれていた。
その机の奥でひょろっとした細身の男が立ち上がる。

「予想よりも時間がかかったね」

通路から部屋の中の様子をうかがっていたゲオルグとフェイトは、
部屋の中から聞こえてきた男の声に、互いの顔を見合わせた。

[フェイト。 あれって、エメロードかな?]

[たぶん。 どうしようか?]

[いつまでもこうしてはいられないよ。 気をつけて中に入るしかないって]

[うん・・・そうだね]

念話を使った短い話し合いを終え、2人は互いに頷き合うと
タイミングを合わせて部屋の中へと入った。
2人は5mほどの距離をおいて机の向こうに立つ男と対峙する。

部屋は薄暗いものの男がうすら笑いを浮かべていることを
2人ははっきりと認識できた。

「ようこそ、お二方」

ニヤケ顔をしながら、自分を逮捕するためにやってきたゲオルグとフェイトに対し
殊更明るい口調で歓迎の言葉をエメロードと思しき男が口にする。
その言葉に含まれる自分たちを嘲る色を感じ取り、ゲオルグとフェイトは
一様に厳しい表情で男の顔を睨みつけた。

「エメロードだな?」

「そうだが、何か?」

低い声でゲオルグが問いかけると、エメロードは不敵な表情を浮かべたまま
尊大ささえ感じさせる口調で応える。
エメロードの態度に苛立ちを覚えたゲオルグは、片方の眉をピクっと吊り上げると
エメロードに向けて口を開きかけた。

「エメロード」

だが、すぐ隣から聞こえたフェイトの凛とした声に、ゲオルグは発しかけた言葉を
飲み込んだ。
フェイトはゲオルグの方をちらっと一瞥すると一歩前に出てエメロードの顔を
真っ直ぐに見つめる。

「あなたを危険魔法使用・公務執行妨害・違法な生物研究などの容疑で逮捕します」

強い調子でフェイトがそう言いきると、エメロードは少しうつむいて
くつくつと笑い始めた。
ゲオルグとフェイトが少し唖然としながらその様子を見ていると、
エメロードは声をあげて笑い始める。

訳がわからずゲオルグとフェイトは互いの顔を見合わせて肩をすくめる。
怪訝な表情をした2人が見つめる中、エメロードは狂ったように笑い続けた。
やがて1分ほどたったころであろうか
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