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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第14話:ひとりの少女
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待てよ・・・研究所でのレスキュー任務でゲオルグがコイツと似た感じのヤツを
 倒した時って・・・)

引きもどした指を顎に当てたヒルベルトは、この件の発端となった
ある研究所でのレスキュー任務での出来事を思い返していた。

(確か・・・ゲオルグが宝石を砕いたら・・・爆発っ!)

焦った様子でヒルベルトが立ち上がる。
次の瞬間、化け猫の額にある宝石がパキっという音を立てた。
それに続いて青白い光が宝石の表面に入った亀裂からあふれ始める。

「総員退避っ!! はしれえぇーっ!!!!」

ヒルベルトが階段の方に向かって走り出しながら叫ぶ。
その声に反応してA分隊の面々が慌てて駆けだす。
数秒後、化け猫の額にある宝石が音を立てて弾け、
貯めこまれていた魔力が一気に解放されると、通路は爆風に覆い尽くされた。





ずぅぅぅん、という重たい音が下の階から聞こえてくるとともに
床がビリビリと振動するのをゲオルグとフェイトは自分の足で感じ取った。

「・・・・・今のって爆発だよね?」

「たぶんね。 みんな大丈夫かな・・・・・」

肩を上下させて息をしながら尋ねるフェイトに対して、
ゲオルグも同じく肩を上下させながら答える。

2人は工場3階の通路で遭遇した20人ほどの魔導士たちと戦い、
全員を魔力ダメージによって気絶させていた。
1人1人の能力はフェイトやゲオルグとは較べるべくもないものであったが、
戦力比10:1という戦力差はこの2人にとっても厳しいものであったことが
息を切らして肩を上下させる2人の様子から伺える。

「ゲオルグ」

フェイトから声を掛けられ、ゲオルグはフェイトのほうを振り返ると
無言で首をかしげながらフェイトの目を見た。
フェイトは息を整えすっくと背を伸ばしてゲオルグのほうをじっと見ていた。

「みんなのことが心配なのはわかるけど、今は・・・・・」

「わかってるよ」

フェイトの言いかけた言葉を遮るように、ゲオルグは小さく頷きながら言う。

「僕たちの役割はエメロードを捕まえることだ。
 みんなのことは心配だけど、今はみんなを信じるだけだよ」

荒くなった呼吸を整えるように大きく深呼吸してから、
ゲオルグはその両目に強い意志の光を湛えて言った。
そんなゲオルグの様子を見たフェイトは一瞬だけニコッと笑うと、
再び真剣な表情に戻って2人の前にある1枚の扉に目をやった。

「で、ここにエメロードが居るんだよね」

「そのはずだよ。 準備はいい、フェイト?」

「私はいつでもいいよ。 ゲオルグこそ、どう?」

「うん、僕もいいよ」

ゲオルグはフェイトに向けた微笑を浮かべて頷く。
次いで、ゲオルグは一度目を閉じる。

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