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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第14話:ひとりの少女
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フェイトの戦闘をデバイスが記録していた
映像を見ていたヒルベルトは、その内容を思い返し息をのむ。

ヒルベルトとてB+ランクの陸戦魔導師であり、優秀と言っていい指揮官である。
ヒルベルト自身もその自負と誇りを持って任務にあたってきた。
だが同時に魔導師としてはゲオルグやフェイトには勝てないとも感じていた。

"あいつらは俺とは魔導師としての器の大きさが違う"

ヒルベルトがA分隊の分隊員のひとりに語ったことである。
もっともその言葉に続けて、

"指揮官としては負けねえと思ってるけどな"

と笑いながら言ったのではあるが。

そのヒルベルトにとって、ゲオルグとフェイトが組んだ上で
なお苦戦した敵と同等と思われるこの化け猫は、自分には荷が重いと
ヒルベルトは感じていた。

そんなヒルベルトの心中を見透かしたように化け猫はヒルベルトを睨みつける。
心理的圧迫感からヒルベルトはかみしめた奥歯をギリっとならす。

「分隊長・・・」

心配そうな顔で隣に立つ曹長に声を掛けられ、ヒルベルトは覚悟を決めた。

(やるしかねえ!)

「一旦距離をとって態勢を立て直す。
 近接戦闘向きのヤツを前に立てて階段の方に後退するぞ」
 
「了解です。 では、前に出るグループの指揮は自分がとりますよ?」

曹長がそう答えると、ヒルベルトは顔をしかめる。

ヒルベルトは中距離射撃型の魔導師で近接戦闘には向かない。
その意味で曹長の進言は理にかなっているのだが、前に出るグループが
より危険な立ち位置であるのは間違いなく、その指揮を曹長に
押しつけねばならないことにヒルベルトは嫌悪感を覚えた。

だが指揮官として冷静に判断したとき、負傷した自分が近接戦闘では
ほとんど役に立たないことをヒルベルトは理解していた。

「・・・頼む」

そう短くヒルベルトが言うと、曹長は黙って小さく頷いた。
ヒルベルトは曹長に向かって頷き返すと、分隊の射撃型魔導師達を率いて
ゆっくりと階段の方向へと後退していく。

そして、少し間を開けて曹長が率いる近接戦闘を主体とするチームも、
化け猫と対峙しながらじりじりと後退し始める。

一方化け猫の方はというと、A分隊の面々が後退していくのを
じっと見据えるようにしていたが、曹長が率いる近接戦闘チームとの距離が
20mほどになったとき、足を曲げてグッと身体を低くした。

(来るっ・・・)

曹長たちがそう感じて身構えた次の瞬間、化け猫が曲げていた後脚を伸ばして
宙へと飛び上がる。

「来るぞおっ! 絶対通すな!!」

曹長が声を張り上げ前線の隊員たちがそれにおうっ!と応える。
そして・・・・・



ごんっ! どさっ!




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