暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第14話:ひとりの少女
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

通路の突き当たりにあるカビの生えた壁を睨みつけながら心の中で悪態をつく。

(どうする・・・後退して抑えに徹するか・・・?)

極度の緊張の中でヒルベルトの思考が地下に降りてから初めて消極側へと傾く。
そのことに気がついたヒルベルトは己の考えを振りはらうようにかぶりを振った。

(いやいや、そりゃリスキーだって最初に考えたからここに居るんだっての。
 初志は貫徹しなきゃダメだろ!)

己に喝を入れ、ヒルベルトはA分隊の面々の方を振り返る。

「先に・・・」

先に進むぞ、とヒルベルトが言いかけたときに再び先ほどと同じ音が通路に響き、
ヒルベルトは出かかった言葉を止めた。
音は先ほどよりも反響が小さく音源が近づいていることをヒルベルト達に
否応なく感じさせる。

(くそっ、近いぞ。 どうする・・・って迷ってる場合じゃねえ!)

「近いぞ! 全員警戒!!」

ヒルベルトが分隊員たちに向かって声を張り上げる。
その直後だった。
ヒルベルトが立っていた地点のすぐ側の壁が吹き飛んだのは。
壁を背にして立っていたヒルベルトは身体ごと吹き飛ばされ、
反対側の壁面に叩きつけられた。

(ぐっ・・・何が・・・・・)

「ぶ、分隊長!!」

曹長の悲鳴にも似た叫び声が響く中、ヒルベルトは何が起きたのか
把握できないまま床に倒れ伏す。

「分隊長! 大丈夫ですか!?」

分隊員のひとりが通路の床に倒れたヒルベルトの側に駆けより、
肩を叩きながら声をかける。

「・・・・・大丈夫だ」

少し間があってヒルベルトが返事をすると、声をかけた隊員は安堵から
ホッと胸をなでおろす。
その顔にはうっすらと笑みすら浮かんでいた。

「分隊長がご無事で安心しました」

心底安心したような口調で言う分隊員に対して、ヒルベルトは厳しい視線を向ける。

「んなこと言ってる場合か!」

ヒルベルトは分隊員を叱りつけると床に手を突いて立ち上がろうとする。

(くっ・・・)

その過程でヒルベルトはその表情をわずかに歪める。

(アバラを何本かやられたか・・・・・耐えるしかねえな)

歯を食いしばり痛みに耐えながら立ち上がると、ヒルベルトの正面に
巨大な猫が4本足で立っていた。

(猫? コイツが壁を破壊したってのか?)

ヒルベルトは巨大な猫をじっと見据える。
赤い色の両目は怪しく光り、ヒルベルトから見える前足の先端にある
爪は人の身体などは簡単に引き裂けそうに鋭く尖っている。

そしてその額には親指の先ほどの大きさの宝石のような物が見えた。

(こいつはやべえな・・・。 ゲオルグとフェイトが戦ったヤツと同じか・・・)

以前行われた救出作戦でのゲオルグと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ