暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第14話:ひとりの少女
[1/8]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

同刻。
ヒルベルト率いるA分隊は、工場1階の探索を終えていた。

「1階に敵影はなし・・・か」

『はい。 これからどうされますか?』

ヒルベルトは探索の指揮を任せていた曹長からの報告を受けて、
今後の行動方針に迷っていた。

(どうすっかな? 1階に敵がいないってのは不気味なんだが、
 これ以上はなんともな・・・。
 それに地下がノータッチってのはなんともな・・・)
 
うつむきがちで考え込んでいたヒルベルトは顔を上げる。

「事前に指定していた4箇所に各1名を残して、残りは地下への階段前に集合。
 残りの人員で地下の探索に移る」

『よろしいのですか? 余計なことをして藪蛇になるなんてことは・・・』

「そのほうがリスクが小さいと俺が判断した」

ヒルベルトの言葉に曹長は一瞬眉をひそめかけるが、
すぐにもとの表情へと戻る。

『了解しました』

結局、曹長はヒルベルトの指示を受け入れ、通信を切った。

地下に余分な戦力がいるとすれば、1階の要点防御に専念した場合
突然攻撃を受けて防御線を一気に突破される可能性がある。
地下の探索を実行してその敵を見つけておけば、仮に敵の戦力が優勢で
あったとしても遅滞戦術によって退却時間を稼ぎ出せる。

実のところヒルベルトはそんな考えのもとに地下の探索を実行することにした。
通信ではそのあたりのプロセスをすっ飛ばして曹長に指示を出したのだが、
曹長のほうでも"それくらいのことは考えているだろう"と判断して、
ヒルベルトの指示に従ったのである。

B分隊のゲオルグとルッツの関係とはまったく違った関係ではあるが、
こちらの2人もなかなかの好コンビのようである。


閑話休題。

5分ほどして地下への突入メンバーがヒルベルトのもとに集合する。
ヒルベルトは整列した彼らのほうに向いて話し始める。

「これよりA分隊は地下に降りて、隠れた敵が居ないか探しに行く。
 よくある探索任務だがびっくりするような化物が出てくる可能性もある。
 全員、気を引き締めてかかれよ!」

「はいっ!」

目の前の分隊員たちの返事に満足したヒルベルトは、
先頭をきって地下へと降りていく。

廃工場の地下はさまざまな配管類があちこちに通っていて非常に見通しが悪い。
その上、湿気が強くカビの匂いが充満していた。
その悪臭にヒルベルトは顔をしかめる。

「臭えな・・・」

「そうですね。 それに視界も悪いですし、敵が居ても気づかないかもしれません。
 撤退しますか?」

曹長が言うとヒルベルトはニヤッと笑って曹長の方を見た。

「・・・本音は?」

「こんな臭い場所からは一刻も早くオサラバしたい」

顔をし
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ